親知らずが生えてこないのはなぜ? 大人になっても生えない人の特徴や割合を解説
「親知らずが埋まっています」。歯医者さんでレントゲンを撮ったときなどにそう言われると、親知らずが生えてくるのか・こないのか気になりますよね。この記事では、親知らずが生えてこない人の特徴や原因、治療の必要性等について解説します。
親知らずとは?
親知らずは、一番奥に生える永久歯。顔の中心にある歯から数えて8番目に位置している歯です。上下左右に1本ずつ、計4本存在します。
しかし最初から親知らずがない人もいれば、歯ぐきの中に埋まったまま出てこない場合も。また最後に生える都合上、スペースがなく半分だけ生える、斜めに生えるというケースも少なくありません。
このように親知らずが中途半端に生えると歯みがきが難しくなり、歯周病やむし歯になりやすくなってしまいます。そのため、歯科医院で歯みがきの方法についてアドバイスを受けることがオススメです。
親知らずが生える時期
親知らずが生える時期は主に10代後半から20代前半ですが、30代以降に生える人もいます。また数本だけ生える人もいれば、歯ぐきの中に埋まったまま生えない人も。どんな状態で生えているかによって対策が変わるので、気になる方は歯科医院でレントゲンなどを撮ってもらいましょう。
親知らずの主な生え方
親知らずが生える主なパターンは4種類あります。
① まっすぐ生える
正常に生えた状態で、全体の3割程度と比較的少ない生え方。歯並びに問題がない場合が多いです。
② 傾いて生える
斜めに傾いて生えた状態で、手前の歯にぶつかっているケースがよくある生え方です。現代人の食生活の変化により、顎の骨格が小さくなったことが要因とされています。また、傾きによって歯ぐきが被っている場合もあり、歯みがきがより難しくなる状態です。
③ 途中まで生える
まっすぐに生えているものの、途中で手前の歯に引っかかるなどして手前の歯よりも低くなっている状態です。噛む面の溝は比較的磨きやすい状態になっているものの、高さが低いため意識して磨く必要があります。
④ 歯ぐきや骨に埋まっている
歯ぐきの中に隠れて外からは見えない状態で、完全埋伏(かんぜんまいふく)と呼ばれています。歯列に悪影響がなければ治療の必要はありません。まれに歯ぐきの中で真横 (水平埋伏)になって手前の歯を押すように 生えていると、痛みを感じることもあります。
親知らずが生えてこない人の特徴
親知らずが生えてこない人は、先天的に親知らずが存在しない場合や骨の中に埋まったままの場合があります。
親知らずが生えてこない人の割合
親知らずが生えてこない人は、日本人では3~4人に1人と言われています。一方縄文時代の人は、ほぼすべての親知らずが生えていたのだとか。日本人の体の発達や食文化の変化などによって、少しずつ生えない人が増えているとわかります。
親知らずが生えてこない人は2タイプ
親知らずが生えてこない人は、もともと親知らず自体がない方と歯ぐきの中に埋まっている方の2タイプに分かれます。
親知らずがもともとない
先天的に親知らずが存在しないタイプの人は、絶対に生えてきません。現代人ではもともと親知らずのない人が多くいます。
親知らずが埋まっている
もう1つは親知らずが歯ぐきの中に隠れており、確認できないタイプです。状態によっては生えてくることもありますが、真横に向いている場合は生えてきません。
ただ、向いている方向によって親知らずが手前の歯や骨を押し、親知らずの周辺に痛みを感じることがあります。歯科医院で定期的に観察してもらい、親知らずが影響を及ぼしていないか確認しましょう。
なぜ? 親知らずが生えてこない原因
親知らずが生えてこない原因は、親知らずの歯胚(しはい:後に歯となる細胞)が存在しない場合や骨の中に埋まっている場合が主です。親知らずは一番奥の永久歯であり、生えるスペースがないと埋まったままになることがあります。この場合、定期的な歯科医院での検診が大切です。
スペースが足りない
顎が小さいため親知らずがあっても生えるスペースがないと、歯ぐきの中に埋まったままになることがあります。この場合の親知らずはブリッジや入れ歯の支えとして使う可能性をふまえ、抜かないで残しておくことも。ただし歯並びや奥歯の状態によって対応が変わるので、歯科医院で適切な診断・治療を受けることが重要です。
遺伝の影響
もともと親知らずがない人は、遺伝の影響が大きいと考えられます。先天的に親知らずがない場合は生えてきません。現代人では、もともと親知らずがない人が多くいます。
親知らずが生えてこない場合は治療が必要?
親知らずが途中まで生えている・埋まっている場合は、定期的な観察をオススメします。レントゲンを用いて、歯ぐきの内部の様子や親知らずと神経の位置関係を確認するためです。周辺の歯ぐきの状態などから、歯科医師と相談して適切な治療や対策を決めましょう。
治療が必要ないケース
一般的に治療が必要ないケースは、親知らずと親知らずの周辺の健康が保たれている場合です。ただし親知らずは一番奥に存在するため、検査をしないとわからないことも多くあります。そのため自分で判断するのではなく、歯科医院で診てもらい健康であるかを確認してください。
① まっすぐ生えている
まっすぐ生えている親知らずは、他の歯に負担を与える可能性が少ないのが特長です。歯みがきが比較的しやすいことから、歯みがきの見直しや定期的な観察によって問題のない状態を維持することができるでしょう。親知らずだけでなく、その周囲の歯の健康を保つためにも、むし歯や歯周病になりやすい親知らずにプラーク(細菌のかたまり)が溜まらないよう注意して歯みがきをすることがポイントです。
② 完全に埋まっていてリスクがない
完全に埋まっていればプラーク(細菌のかたまり)が溜まらず、むし歯や歯周病のリスクが高くならないため、治療の必要性はありません。ただし真横を向いている場合には、手前の歯を押して痛みが出ることがあります。頻繁に起こるようであれば抜歯をオススメされるでしょう。いずれにしても継続的な経過観察が大切です。
治療が必要になるケース
親知らずの治療が必要になるケースは、痛みや腫れがある場合、むし歯や歯周病の可能性が高い場合、歯並びや噛み合わせに影響する場合などがあります。これらの問題は早めの対処が大切です。治療の説明を受ける際に、かかる時間や回数も確認しておきましょう。
① 痛み・腫れがある
親知らずの周りはプラーク(細菌のかたまり)がたまりやすく、細菌感染によって痛みや腫れを繰り返しやすくなります。手前の歯にダメージが及ぶ可能性が高い場合には、むし歯や歯周病の治療だけでなく、抜歯を提案されることがあります。大変な治療になることもあるので歯科医院での説明を良く聞き、最善の方法を選択するようにしましょう。
② むし歯や歯周病になる可能性が高い
歯ブラシを当てにくい親知らずは、むし歯や歯周病になる可能性が高い歯。歯ブラシが当たりにくい、動かしにくい、動かすと顎の骨に当たって痛いなど、磨き残しが多くなる要素が詰まっています。親知らずを健康のまま残したい場合は、適切なアイテム選びとケアの方法を身につけましょう。
③ 歯並びや噛み合わせに影響する
親知らずが斜めに生えていると歯を押す力が加わり、場合によっては歯並びや噛み合わせに影響を与えることがあります。徐々に押されて歯列が変わっていくため、なかなか気づけないものです。定期的に歯科医院で観察してもらい、あまりにも影響が大きいようであれば治療を検討してみましょう。
親知らずを治療するとこんなメリットも
問題が起こっている親知らずの適切な治療や抜歯によって、口臭予防や肩こり・頭痛の解消になるメリットがあります。また親知らずを抜いて、小顔になったように感じる人も少なくありません。歯科医院でレントゲン撮影など必要な検査を行ない、口内の状態を確認して最適な治療を選ぶことが大切です。
親知らずの健康を保つためのケア
親知らずの生え方によってケアのポイントが変わります。どんなふうに生えているかを把握して、親知らずを健康な状態でキープできるようにしましょう。
① まっすぐ生えている場合
まっすぐキレイに生えている場合、問題は一番奥の顎の骨に近い場所に存在しているということ。歯ブラシを奥に入れようと思ってもうまく入らなかったり、入ったとしても動かすときに顎の骨に当たって痛みを感じることがあります。舌側については、喉の奥に歯ブラシが入ってくることからえづいてしまう(嘔吐反射)方もいます。
3列の歯ブラシなら、ヘッドがコンパクトなもの・やわらかいブラシを選んでみてください。ヘッドが大き過ぎると親知らずにブラシが到達できず、磨き残しが多くなります。また、ブラシが硬いとゴシゴシ磨けている気がする反面、細やかな動きができないため磨き残しが多くなることに。加えて周囲の粘膜はとても柔らかいため、ブラシで粘膜を傷つけてしまう可能性も高くなります。
どうしても3列の歯ブラシで磨くのが難しい場合には、ワンタフトブラシを活用しましょう。親知らずにピンポイントで当てることができ、短時間で親知らずをキレイにできます。周囲の粘膜も傷つけないので安心です。
② 傾いて生えている場合
傾いて生えている親知らずは歯ぐきが一部被っているため、歯ぐきを傷つけないように注意しながら歯みがきをする必要があります。
3列の歯ブラシは一見効率よく見えますが、親知らずには当たりづらく、さらに被っている歯ぐきに傷をつけてしまうのでオススメできません。
傾いて生えている場合には、ワンタフトブラシや1歯ブラシを活用しましょう。生えている部分をピンポイントでキレイにできるので、効率良くケアできます。また噛み合わない歯はすり減らないため溝が深く、そういった部分のケアにもワンタフトブラシはオススメです。
ワンタフトブラシでは小さすぎてケアが難しい場合には、1歯ブラシを試してみてください。ワンタフトブラシより安定感が増すので、ケアがしやすくなることがあります。ただし、1歯ブラシは少し歯ぐきに当たりやすい傾向が。使うときには歯ぐきに当たって痛くないか、確認しながらケアしましょう。
③ 途中まで生えている場合
まっすぐなのに途中までしか生えていない親知らずは、普通に磨くと磨き残しが多くなります。手前の歯よりも低いことで、親知らずの部分が磨きにくくなるからです。
下の歯であれば鏡で見ることができますが、上はその位置が確認しづらいので、より歯ブラシが届きません。
そのため3列の歯ブラシでケアするときには、歯ブラシが当たっている場所を毎回慎重に確かめて磨くようにしましょう。舌先を使って、親知らずの位置を確認しながら磨くのもオススメです。
それでも、噛み合わせの面は3列の歯ブラシでは届かないことが多くあります。そこで取り入れたいのがワンタフトブラシです。親知らずがどのくらい生えているかによって、ワンタフトブラシの毛束の長さを変えましょう。この場合も斜めに生えているケースと同じく、親知らずの溝が深いままなので、歯みがきの最後に親知らずの溝を狙ってキレイにすると磨き残しを減らすことができます。
親知らずが生えてこない原因を知って適切に対処しよう
親知らずが生えてこない原因は、大きく2つあります。まずは口内の状態やレントゲン撮影によって状況を把握し、必要に応じて歯科医院での相談や治療を検討しましょう。
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Supervisor監修者
株式会社オーラルケア 歯科衛生士
スウェーデンで確立された、予防歯科の考え方と実践方法を熟知している“予防のエキスパート”。エビデンスに基づいた歯を守る方法とその重要性について、幅広く情報発信を行なっています。歯科医療従事者、企業・団体、一般生活者に向けて、セミナーや教育活動を展開中です。
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