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唾液の役割って知ってる? 実はすごい働きや機能&分泌を増やす方法まで解説!

唾液の役割って知ってる? 実はすごい働きや機能&分泌を増やす方法まで解説!

日々当たり前に分泌されている唾液。実はさまざまな機能を持っていることを知っていますか? 今回は唾液が持つ役割を詳しく紹介します。唾液を増やす方法もお伝えするので、ぜひ参考にしてください。

更新日: 2023.09.05 口から始める健康づくり

唾液に関する基礎知識

水の波紋

唾液とは、口内にある唾液腺から分泌される液体のことです。健康な成人だと1日で500~1,500mlほど分泌されるといわれています。

唾液は唾液腺と呼ばれる器官でつくられ、大きく分けて下記の2種類があります。

・日中何もしていないときに出てくる「安静時唾液」 
・食べ物を口に含んだときに、舌や粘膜に触れて分泌される「刺激時唾液」

それぞれ成分や粘度は少し異なりますが、一般的に副交感神経が刺激を受けると分泌され、交感神経が刺激を受けると抑制されるといわれています。

唾液の役割

笑顔の女性

唾液には口の健康に欠かせない多くの役割があります。詳しく見ていきましょう。

役割① 口の中をキレイにする

唾液は食後に残った食べかすを洗い流し、口内をキレイにしてくれます。唾液がしっかり分泌されていると、プラーク(細菌のかたまり)が口内に付着しにくいといわれています。

役割② むし歯を防ぐ

唾液には、むし歯を防ぐ役割があります。食事をすると口内は酸性に傾き、脱灰が起こります。

脱灰とは、プラーク(細菌のかたまり)から発生する酸によって歯の表面が溶け出してしまう現象のこと。唾液にはこの酸性に傾いた口内を中性に戻し、再石灰化を促します。
再石灰化とは、唾液に含まれるカルシウムやリンといった成分の働きで、酸で溶け出した歯の表面を元の状態に修復することです。

脱灰と再石灰化のバランスがうまく保たれていると、歯はむし歯になりません。唾液は、むし歯を予防するうえでとても大切な役割を担っています。

役割③ 口内の保湿・保護

唾液には“ムチン”と呼ばれる成分が含まれています。この成分特有の粘り気により、歯がすり減るのを防いだりむし歯になりにくくしたりするほか、口内の粘膜に傷がつくのを防ぐ効果があります。

役割④ 食べ物の消化を助ける

唾液には、食べ物の消化を助ける役割もあります。唾液に含まれるアミラーゼと呼ばれる消化酵素の働きによって、炭水化物に含まれるデンプンを分解するのです。

唾液でデンプンを分解すると胃や腸で消化しやすくなるため、消化器官への負担を軽減できます。

役割⑤ 食べ物を飲み込みやすくする

チャーハンやグラノーラなどのパラパラしたもの。水分量の少ないパサパサしたもの。これらを食べたり飲み込んだりできるのは、唾液によって食べ物が口の中でまとまるからこそ。唾液によって粘膜にうるおいを与えることで舌や喉の動きがスムーズになり、飲み込みやすくなります。

役割⑥ 食べ物を美味しくする

食べ物の味をキャッチする舌の組織・味蕾(みらい)。この味蕾へ唾液に溶け出た食べ物の成分が届くことで、美味しさがしっかりと感じられます。

役割⑦ 入眠をスムーズにする

唾液にはメラトニンと呼ばれるホルモンが含まれています。夜になると、このメラトニンの分泌量が増加。脳や体を眠りに入りやすい状態に切り替えてくれます。

役割⑧ ウイルスや細菌の侵入を防ぐ

口内の粘膜は、体が外部と接触する場所。外からウイルスや細菌が侵入しやすいため、唾液の中にはリゾチームやラクトフェリン、ペルオキシターゼ、免疫グロブリン(IgA)などの抗菌成分が含まれています。これらの抗菌物質は口内でウイルスと戦ったり細菌の増殖を妨げたり、普段から私たちの健康を守ってくれるのです。

唾液の増やす6つの方法

サラダを食べる女性

多くの重要な役割を果たしている唾液。しかし日常生活の中で唾液が減ってしまうシーンがあります。どんなことに気をつければ、唾液を効率よく増やせるのか。より快適な毎日を過ごせる6つの方法について紹介します。

方法① こまめに水分を摂る

体の水分が不足していては、唾液も分泌されにくくなります。口内を乾燥させないためにも、こまめな水分補給が大切。その際はノンカフェイン・ノンシュガーのものがオススメです。水や麦茶などを選んでください。

方法② よく噛んで食事をする

唾液の分泌は、食べ物を噛むことで促進されます。噛む回数の目安は「1口20~30回」。とはいえ、意識していないと1口30回は難しいものです。以下のような工夫をして、噛む回数を増やしましょう。

・食材のサイズを大きめにカットしてみる ・煮込む時間を短くする
・ひと口を小さくして口に入れる回数を増やす

注意が必要なのは“ながら食べ”。「テレビやスマホを見ながら」「仕事をしながら」の食事は、噛む回数が減る原因になるのです。ひと口食べるごとにしっかり噛んで味わうことが、唾液分泌の助けとなります。

食事以外のタイミングでは、ガムを噛むのがオススメ。簡単に唾液の分泌を促すことが可能です。

方法③ 鼻呼吸を意識する

口呼吸が習慣化すると、口内が乾燥しやすい状態に。マスクの着用時も口呼吸になりがちなので要注意です。日頃から鼻呼吸を心がけて、唾液の蒸発を防いでください。

鼻呼吸の原因が鼻炎や歯並びの悪さによる場合は、専門家に相談してみましょう。

方法④ 舌を動かすトレーニングをする

舌を動かすと唾液腺が刺激され、唾液が出やすくなります。リラックスした状態で舌を上下・左右に動かすだけでも効果的です。唾液の量が少ないと感じる方は1日2回、朝晩に実践してみると良いでしょう。

方法⑤ 唾液腺をマッサージする

唾液腺とは、唾液の分泌を促す器官のこと。種類は「耳下腺(じかせん)」「舌下腺(ぜっかせん)」「顎下腺(がっかせん)」の3つあります。唾液の分泌を良くするには指圧マッサージが効果的です。特に唾液が少ない朝の起床時や、食事前などに行なってみてください。

ただし効果が得られるのは一時的です。ほかの方法と組み合わせて行ないましょう。

方法⑥ リラックスする

リラックスすると副交感神経が優位になり、唾液が分泌されやすくなります。お風呂に入ったり、好きな音楽を聴いたり。1日の中でリラックスできる時間をつくりましょう。

唾液の分泌を増やす方法

唾液の分泌量が減ると、むし歯や歯周病、口臭の原因となるだけでなく、免疫力の低下や味覚異常を引き起こすこともあります。

唾液の分泌量を増やすためには、どのようなことに気をつければ良いのでしょうか? ここでは、唾液の分泌を増やす方法を紹介します。

咀嚼の回数を増やす

唾液の分泌量を増やすためには、咀嚼の回数を多くするのが効果的です。唾液は咀嚼するときに分泌されるので、食事の際はよく噛んで食べることを意識してください。

早食いになりがちな人は、食べ物の調理法や切り方を見直して咀嚼回数を増やすのがオススメです。食事以外のタイミングでは、ガムを噛むなどすると唾液の分泌を促せます。

鼻呼吸を意識して口内の乾燥を防ぐ

唾液の分泌を増やすためには、鼻呼吸を意識することも大切です。口呼吸の習慣があると、口内が乾いて唾液の分泌量が減るだけでなく、口内が外気にさらされることで分泌された唾液が乾燥しやすくなります。

唾液の役割を享受するためには鼻呼吸の習慣を。慢性的な鼻炎などが原因で口呼吸になっている場合は口呼吸の原因を解消し、鼻呼吸が自然にできるように整えましょう。

こまめに水分補給をする

こまめな水分補給も、唾液の分泌量を増やす大切なポイントです。体内の水分が不足していると唾液の分泌が減りやすいため、脱水状態にならないよう水分をこまめに摂るよう心がけてください。

ただし、コーヒーや緑茶といったカフェインを含む飲料には利尿作用があるため、飲み物を飲んでいても脱水が進む原因となります。水分補給には、水やノンカフェインの飲み物を選んで飲むのがオススメです。

会話をしたり歌を歌ったりする

唾液の分泌量を増やすためには、会話をしたり歌を歌ったりして口に刺激を与えるのも効果的です。口を動かすことで唾液の分泌を促せるので、人と会話する機会を増やすのもオススメ。一人で過ごしているときには、歌を歌ったりひとりごとを言ったりしてもOKです。

唾液はストレスによって分泌量が減少します。人と話したり自分の好きな曲を歌ったりするとストレスの発散にもなるため、口への刺激とストレス解消の両面で唾液の分泌増加に効果的です。

飲酒や喫煙の習慣を見直す

唾液の分泌量を増やすためには、飲酒や喫煙の習慣を見直すことが大切です。アルコールには利尿作用があるため、飲酒をすると脱水を引き起こしやすく、唾液の量が減る原因となります。

また喫煙習慣があると自律神経が乱れやすくなり、唾液の量が減る原因にも。唾液をしっかりと分泌させるためには、過度な飲酒や喫煙は控えましょう。

ストレスを発散する

唾液を増やすためには、ストレスを解消することも大切です。ストレスをため込むと唾液の量が減る原因となるため、体を動かしたり趣味に没頭する時間をつくったりしてストレスを発散しましょう。

マッサージを行なう

唾液の分泌を増やすためには、唾液腺がある部位のマッサージも効果的です。唾液の分泌量が少なく食べ物を飲み込みにくい方は、食事の前にマッサージを行なってみてください。

唾液腺マッサージのやり方
  1. 耳の下に親指以外の指を当てて円を描くように10回揉む
  2. 耳の下からあごの下にかけて親指でフェイスラインを4〜5ヶ所、各5回ずつ押す
  3. 両手の親指であごの下を押し上げるように10回押す

舌の体操を行なう

唾液の分泌を促すために、舌の体操で口内を刺激するのもひとつの方法です。口を開けて行なう方法と口を閉じて行なう方法の2パターンのやり方を紹介するので、ぜひやってみてください。それぞれの動作を5回ずつ行なうのがオススメです。

口を開けて行なう舌の体操のやり方
  1. 舌を思いきり前に突き出して戻す
  2. 舌を出して左右に動かす
  3. 舌を上下に動かす
口を閉じて行なう舌の体操のやり方
  1. 左右の頬を内側から舌で押す
  2. 上唇と下唇を内側から舌で押す
  3. 舌をぐるりと回す(反対回しも行なう)

服用薬の数を見直す

唾液の量を増やすには、服用薬の数を見直すことが効果的な場合もあります。薬の中には口内を乾燥させてしまう副作用を持つものがあるため、薬の種類を変えると唾液の量が増えることがあるのです。

また薬を複数服用している場合は、唾液の量が少なくなるというデータもあります。日常的に服用している薬がいくつもある場合は、かかりつけの医師に口が乾くことを相談し、薬の数や種類の変更を検討してもらうと良いでしょう。

出典:Närhi TO(2001),Salivsekretion och anvandning av mediciner hos aldre. Tandläkartidningen. 93(2):12-18

出典:Sreebny LM, et al. Xerostomia. Part Ⅱ: Relationship to non-oral symptoms, drugs and diseases. Oral Surg Oral Med Oral Pathol, 1989; 68: 419-427.

唾液を増やして口と体の健康を守ろう

歯を見せて笑う女性

今回は唾液の役割や大切さ、そして唾液を出す方法を紹介しました。唾液の量が減ると口内トラブルや免疫力の低下などにつながるため注意しましょう。日頃から唾液の量を増やすことを意識して、生活習慣を見直してみてくださいね。

Supervisor監修者

株式会社オーラルケア 歯科衛生士


株式会社オーラルケア 歯科衛生士

スウェーデンで確立された、予防歯科の考え方と実践方法を熟知している“予防のエキスパート”。エビデンスに基づいた歯を守る方法とその重要性について、幅広く情報発信を行なっています。歯科医療従事者、企業・団体、一般生活者に向けて、セミナーや教育活動を展開中です。

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