歯周病ってうつるの? 知っておきたい感染経路と予防方法
「歯周病はうつる」。そんな話を聞いたことはありませんか? 食事がしにくくなったり口臭が気になったりするだけでなく、全身の健康にも関わってくる歯周病。予防方法を知って、口と体の健康を守りましょう!
「歯周病はうつる」ってホント?
「歯周病がうつる」というのは本当です。ただし正確には、歯周病そのものがうつることはありません。詳しく説明します。
歯周病とは、細菌による感染症
歯周病とは“歯周病菌が引き起こす細菌感染症”です。つまり歯周病菌に感染すれば、誰でも歯周病になる可能性があります。
これが「歯周病がうつる」といわれる理由。歯周病がうつるのではなく、正しくは歯周病“菌”がうつっているのです。
歯周病菌の特徴
歯周病菌は、口の中に生息している細菌です。その種類はいくつもありますが、共通している特徴があります。
特徴① 血液が好物
歯周病菌は、血液を栄養源として増殖していきます。そのため歯ぐきが炎症を起こして出血すると、歯周病菌の動きは活発に。さらに出血している血管から入り込んで、血液と一緒に全身を巡ることがあります。
反対に出血のない健康な歯ぐきであれば、歯周病菌が活発になることはありません。
特徴② 空気が嫌い
歯周病菌の多くは、嫌気性菌です。その名のとおり「空気が嫌い」なので、酸素の少ない環境に好んで生息します。
口の中での酸素に触れにくい環境といえば、歯と歯の間や歯ぐきの中。ほかにも時間の経過したプラーク(細菌のかたまり)などがあります。歯周病菌は、これらの場所にひそんでいるのです。
歯周病菌がうつる年齢と感染ルート
では、歯周病菌はいったいどうやってうつるのでしょうか? うつる年齢や感染ルートを見ていきましょう。
歯周病菌がうつる年齢はある!?
歯周病菌には、うつりやすい年齢というものはありません。風邪などと同じように、どの年代でも感染する可能性があります。
ただし、歯周病菌が口内に定着すると考えられているのは18才以降です。また歯周病菌が定着したとしても、すぐに歯周病の症状が現れるわけではありません。
歯周病菌の感染ルート
歯周病菌は唾液を介して感染することが知られています。主な感染ルートは次の通りです。
親から子への感染
歯周病菌は、親から子へ感染する可能性があります。感染ルートは「食器や歯ブラシの共有」や「親が使った箸やスプーンで子どもに食べさせる」などです。
とはいえ感染したとしても、乳幼児期の子どもには歯周病菌が定着することはないと考えられています。
しかし歯周病の心配はなくても、むし歯菌は乳幼児期でも感染・定着します。親が使用した箸やスプーンで、子どもに食事を与えることは控えたほうがいいでしょう。
夫婦・パートナーからの感染
夫婦やパートナー間でも、歯周病菌は感染します。
「キスなどによる直接感染」「直箸での料理の取り分け」「グラスの共有」などが主な感染ルートです。お互いの安心を守るためにも、口腔ケアの徹底と定期的な歯科検診が大切です。
親しい友人からの感染
親しい友人同士でも、「直箸での料理の取り分け」「グラスの回し飲み」などから感染します。大皿料理には取り箸を用意したり、グラスは一人ずつ使用したりと工夫しましょう。
歯周病菌をうつさない・うつらないようにするために
歯周病菌をうつさない・うつらないようにするためには、お互いに歯ぐきの健康をキープしておくのが一番の対策になります。
定期的な歯科検診やクリーニングのほかに、次の4つに気をつけましょう。
① 感染につながる要因を最小限に抑える
「食事の際には直箸を避ける」「自分専用のグラスにする」などのちょっとした工夫で、感染を防ぐことができます。
歯みがきの後に歯ブラシに血がついていたり、吐き出した唾液に血液が混ざっていたりするときには、スキンシップを控えめに。歯ぐきの状態が気になるときは、早めに歯科医院へ行って歯周病の治療を受けましょう。
② 免疫力を高める
免疫力を高めておくと、歯周病の発症リスクを低下させるのはもちろん、感染リスクの低減にもつながります。体内に侵入してきた細菌を排除するはたらきが強化され、感染を防ぐ能力が高まるからです。
免疫力はストレスや疲れ、加齢などによって低下しやすくなります。十分な睡眠・入浴・栄養バランスを意識した食事・適度な運動など、免疫力を高める生活を心がけてください。
③ 生活習慣を見直す
不規則な食生活や飲酒・喫煙などの習慣は、免疫力を低下させ歯周病菌の感染リスクを高めることがあります。さらに歯周病菌の感染だけでなく、歯周病の発症や進行を促進させてしまう可能性も。
食生活では、間食や時間を区切らずに食べ続けることを避け、口の中に汚れがとどまっている時間を短くしましょう。また歯周病予防のためには、飲酒や喫煙の習慣についても見直すことが必要です。
④ 口の中を清潔に保つ
歯周病菌の感染リスクを下げるには、何よりも口の中を清潔に保つのが効果的です。
丁寧にケアしたい場所は、歯周病になりやすい奥歯。プラーク(細菌のかたまり)がたまりがちな歯がカーブしている部分は、ワンタフトブラシをクルクル動かして磨きましょう。
また歯周病菌が潜んでいるのは、酸素が届かない歯と歯の間や歯ぐきの中です。デンタルフロスを使ってしっかりプラーク(細菌のかたまり)を取り除いてください。
歯周病を予防して、健康な毎日を過ごそう!
歯周病は細菌の感染症であり、誰もが感染するリスクを持っています。しかし感染したからといって、必ずしも歯周病になるわけではありません。
歯周病菌の特徴を知り適切な対処をして、自分や大切な人の口を歯周病から守りましょう!
Supervisor監修者
株式会社オーラルケア 歯科衛生士
スウェーデンで確立された、予防歯科の考え方と実践方法を熟知している“予防のエキスパート”。エビデンスに基づいた歯を守る方法とその重要性について、幅広く情報発信を行なっています。歯科医療従事者、企業・団体、一般生活者に向けて、セミナーや教育活動を展開中です。
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