親知らず抜歯後の食事ってどうする? オススメの食べ物や痛みが引くタイミングを解説
「食事はいつからOK?」「どんなメニューなら食べられる?」など、親知らずを抜いた後の食事について気になる方は多いですよね。そこで今回は抜歯後の経過やリスク、親知らずを抜いた後にオススメの食事を詳しく紹介します。
Supervisor監修者
株式会社オーラルケア 歯科衛生士
スウェーデンで確立された、予防歯科の考え方と実践方法を熟知している“予防のエキスパート”。エビデンスに基づいた歯を守る方法とその重要性について、幅広く情報発信を行なっています。歯科医療従事者、企業・団体、一般生活者に向けて、セミナーや教育活動を展開中です。
親知らず抜歯後の経過
親知らずの抜歯後の経過には個人差があり、歯の生え方や歯ぐきの切開の有無などでも状態が変わります。なかには「痛みや腫れがまったくない」方もいるようです。
ここでは、痛みや腫れがあった場合の一般的な経過を紹介します。親知らずを抜いた後の目安として、参考にしてください。
【1~3日】痛みや腫れのピーク
親知らずを抜いたところには、およそ24時間以内に血餅(けっぺい)というゼリー状のやわらかい血のかたまりができます。血餅は出血を抑えたり傷口を保護したりと、かさぶたとして大切な役割を果たします。血餅がしっかりと定着するまでは、取れないように注意して過ごしてください。
親知らずを抜いた後は当日から痛みが発生し、その後3日ほど腫れが続く場合があります。麻酔の効果は平均して約2~3時間、長くて約3~6時間ほど。麻酔の効果が薄まるにつれて徐々に口元の感覚が戻り、「ズキズキして痛い」と感じるケースが多く見受けられます。
【3~7日】徐々に痛みが引いていく
親知らずを抜いてから約1週間ほどの間に、血餅が歯ぐきの成分に置き換わります。痛みや腫れは通常3日から1週間ほどで治まり、日常生活にも支障がない状態になることがほとんどです。鈍痛を感じる場合もありますが、一般的に1~2週間ほどで引くため様子を見ましょう。
親知らずの大きさや生えている状態などで、抜歯後3~7日の経過に違いが生じます。痛みが治まらなかったり腫れが続く場合は、我慢せず歯科医院を受診してください。
【3週間~1ヶ月以降】骨が再生し始め、抜歯後の穴が歯ぐきに覆われる
親知らずを抜いてから3週間〜1ヶ月後より、骨が再生し始めます。再生した骨の上に歯ぐきが同時にできあがってくるため、このくらいの時期に抜歯部の穴が塞がってくるでしょう。
とはいえ、あくまでも見た目には問題がない程度です。気になって舌で触ったり、歯ブラシで強く擦ったりなど、過度な刺激を与えないよう十分に注意してください。
3~6ヶ月ほど経過すると、歯ぐきの下の骨もしっかり再生して完治します。ただし完治するタイミングには個人差があり、これは一般的な目安です。たとえば歯ぐきを切開しない抜歯や親知らずが小さい方は、早ければ1ヶ月程度で治ることがあります。一方で、歯ぐきの切開を伴うと半年ほどかかる場合もあるようです。
親知らず抜歯後の食事のポイントとオススメの食べ物
親知らず抜歯後の経過日数別に、オススメの食事を紹介します。親知らずを抜いた後の痛みや腫れは人それぞれなので、あくまでも目安として参考にしてください。
【抜歯当日から2~3日】いつもよりやわらかくした食べ物
親知らずを抜いた当日から3日ほどは、患部を刺激しない食事であればなんでも構いません。ただし、親知らずを抜いたところは固形物が傷口に当たると痛みを感じやすくなります。
- うどん
- おかゆ
- 豆腐
- スープ類(辛くないもの) など
- ゼリー
- プリン
- 杏仁豆腐 など
- 揚げ物
- 刺激の強いもの
- 硬いもの
親知らずを抜いた後は、痛みや口内の違和感で食欲が減る方もいます。通常より栄養が不足することもあるので、いつも以上にバランスの良い食事を心がけましょう。その際、消化によい献立にできると理想的です。
抜歯とは反対側の奥歯でなら食べられる場合もあります。抜歯するところや親知らずの生え方などによって状態は異なるため、歯科医院の指示に従って食事を選んでください。
【抜歯から3日目以降】通常の食事でOK
抜歯から3日目以降は患部の様子を見ながら、食べられそうであれば普通の食事で大丈夫です。一般的に親知らずを抜いてから3日目以降は、血餅も安定してきます。
とはいえ、まだ完全に血餅が定着しておらず、ちょっとした刺激で血餅が取れやすい状態です。特に親知らずを抜いて1週間ほどは、口内の状態が不安定な期間。親知らずを抜いた後3日目以降も、食事で血餅が外れないよう注意してください。
親知らず抜歯後のリスクや食事の注意点
親知らずを抜いた後の食事に気をつける理由として、ドライソケットがあります。ドライソケットとは、血餅がうまくつくられなかったり血餅が外れて抜歯したところの骨がむき出しになる状態のことです。
骨に直接刺激が加わるため鋭い痛みが発生し、痛みに耐えるストレスが増え、治りも遅くなる可能性があります。親知らずに限らず、抜歯全般で注意が必要です。
- 患部の鋭い痛み
- 骨の炎症
- 感染症
- 患部の治りが遅くなる
ドライソケットを防ぐために注意したいこと
ドライソケットにならないための対策として、抜歯後に過度なうがいや強いうがいをしないことが挙げられます。また、血餅を吸ったり手や舌で触らないようにしましょう。
注意点① 抜歯後2~3時間は食事をしない
抜歯後およそ2~3時間の間は食事を避けましょう。刺激物や硬い食べ物はドライソケットのリスクが高まるため注意が必要です。
また親知らずを抜いた直後は、麻酔の効果で口元の感覚がありません。誤って舌や頬の内側などを噛んだり、火傷に気づかなかったりするおそれがあるので、安静に過ごしてください。
注意点② 傷口を刺激するメニューは避ける
極端に固い食べ物や香辛料が多く含まれた食事、炭酸飲料などは、傷口を刺激したり炎症を起こす可能性があります。抜歯後は硬いものが当たるだけで痛みを感じることが多いため、1週間ほど様子を見ておきましょう。
注意点③ 飲酒は控える
親知らずを抜いた後の食事の際、飲酒は避けるようにしてください。飲酒は血行が良くなり、傷口からの出血量に影響が。出血が長引くと血餅を形成しにくくなり、傷口の治りを妨げる可能性もあります。
飲酒の制限日数は歯ぐきの切開の有無や治療後の経過などで変わるので、歯科医院の指示に従ってください。
注意点④ 強く口をゆすがない
親知らずを抜いた直後から数日は、出血の影響で血の味を感じやすい状態です。気持ち悪さでつい頻繁に口をゆすぎたくなりますが、血餅を洗い流してしまうとドライソケットにつながります。
親知らず抜歯後に食事以外で気をつけたいことは?
食事メニューや飲酒以外でも、血行に影響することは避けて過ごしましょう。ここでは、「運動はいつからできる?」「入浴や喫煙はいつからOK?」など、食事以外で注意したいことをお伝えします。
激しい運動は控える
血行が良くなることで痛みが出て、出血が止まらなくなったり腫れたりします。
抜歯後2~3日は激しい運動を避け、安静に過ごしてください。目安として、出血が完全に治まったら普通の運動から始めます。傷口の治りには個人差があるため、不安な場合は歯科医院に相談してください。
抜歯当日は入浴をせずシャワーにする
入浴も血液の流れを良くするため、出血が多くなったり血餅ができにくいといったリスクがあります。抜歯当日は、軽くシャワーする程度にしましょう。
一般的に、親知らずを抜いたところに激しい痛みや腫れがなければ翌日から入浴が可能です。翌日以降も数日は患部が不安定な状態なので、長時間の入浴は避けて様子を見てください。
たばこを控える
たばこに含まれるニコチンの影響で血管が収縮し、血行が悪くなって傷口の治りが遅くなる可能性が。血が不足して血餅をつくりにくくなったり、痛み止めがうまく作用しなかったりなどリスクが高くなります。
目安として治療から3日~1週間ほど、歯科医院の指示があるまでは喫煙を控えましょう。
親知らず抜歯後の食事は傷口を刺激しないものを選ぼう
親知らずの抜歯後2~3日は、固い食べ物や刺激の強い飲食物は避けてください。その後、問題がなければ通常の食事に戻しましょう。
なお、親知らずを抜いた後の経過は一人ひとり違います。食事を取れる経過日数やメニューはあくまでも目安なので、抜歯後の説明をよく聞いて過ごし、不安があればすぐに歯科医院に相談してください。
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