意外と知らない「口呼吸」のデメリットとは? 鼻呼吸のメリットもあわせて解説
普段、口と鼻のどちらで呼吸をしていますか? 正しい呼吸は鼻呼吸とされていますが、無意識のうちに口呼吸をしている人が多いのも事実です。口呼吸にはデメリットがあるので、もし口呼吸をする傾向があればこの記事を参考に鼻呼吸できるようにしていきましょう。今回は口呼吸のデメリットや鼻呼吸のメリット、鼻呼吸への改善方法を解説します。
Supervisor監修者
株式会社オーラルケア 歯科衛生士
スウェーデンで確立された、予防歯科の考え方と実践方法を熟知している“予防のエキスパート”。エビデンスに基づいた歯を守る方法とその重要性について、幅広く情報発信を行なっています。歯科医療従事者、企業・団体、一般生活者に向けて、セミナーや教育活動を展開中です。
口呼吸をしてしまう原因は?
口呼吸をしてしまっている方には、何かしらの原因があることが多いです。デメリットの多い口呼吸を治すためにも、まずは口呼吸をしてしまう原因を見ていきましょう。
鼻づまり
アレルギー性鼻炎や慢性副鼻腔炎など、さまざまな理由によって起こる鼻づまりは、口呼吸をしてしまう原因のひとつです。
子どもの場合はアデノイド(上咽頭にあるリンパ組織のかたまり)が大きくなる病気のアデノイド肥大(扁桃肥大)、大人の場合は鼻中隔が曲がってしまう鼻中隔湾曲症などの影響でも鼻づまりが起こり、鼻呼吸がしにくくなります。
鼻づまりが原因で口呼吸をするようになると、日常的に口で呼吸をすることが習慣になり、鼻づまりが解消された後も口呼吸が続いてしまう可能性があります。
歯並び
正しい歯並びは真上から歯の並びを見たときの形がU字型ですが、なかにはV字型に近い歯並びをしている方もいます。V字型の歯並びは、出っ歯など前歯が出ていることから口を閉じることが難しく、口呼吸になりやすい形です。また口呼吸をしていると舌が前歯を押すような位置にあることから、出っ歯になるなど歯列不正を引き起こしてしまいます。
口の周りの筋力低下
唇をぐるっと囲んでいる口輪筋(こうりんきん)をはじめとする、口の周りの筋力が低下していることも口呼吸の原因です。口の周りの筋力が低下すると口が半開きになり、唇を閉じることが意識をしないと難しくなります。
口の周りの筋肉は、マスクの日常的な使用や加齢などによって衰えやすいです。気づかずに筋力が低下していることもあるため、鼻づまりや歯並びなどの原因がないのに口で呼吸をしている方は筋力が衰えている可能性も。鏡を見るなどして確認してみましょう。
【セルフチェック】無意識に口呼吸をしているかも?
日常生活を送るうえで、呼吸はほとんど無意識にしているものです。呼吸自体が無意識に行なわれるものなので、口呼吸を自覚がないまま行なっていることは多々あります。
まずは、自分が口呼吸をしていることにできるだけ早く気づくことが大切です。
口呼吸は無意識
残念ながら日本人は、デメリットが多いにも関わらずたくさんの方が口呼吸をしているといわれています。しかし、自分が口呼吸をしていることに気づいていない方も多いようです。デメリットの多い口呼吸に一刻も早く気づくためにも、セルフチェックで判断してみましょう。
口呼吸のセルフチェック
以下のチェック項目で、ひとつでも当てはまる項目がある方は日常的に口呼吸をしている可能性があります。
- 気がつくと口が開いている
- 鼻炎など鼻のトラブルがある
- 歯並びが悪い(出っ歯やV字の歯列をしているなど)
- いびきをかく
- 起床時の口臭が気になっている
- 起床時に喉が乾燥していて痛みを感じる
- 唇を閉じると、あごに梅干しのようなシワができる
- 口の中や唇が乾燥しやすい
口呼吸がもたらすデメリット
チェックリストをきっかけに、口呼吸をしていたとに気づいた方もいるのではないでしょうか? すでに気づいていた方はもちろん、今気づいた方は以下のデメリットが起こっていないか生活を振り返ってみましょう。
まだデメリットが現れていなくても、生活に影響を及ぼす可能性が高いので、早めに鼻呼吸に切り替え、快適な毎日を送れるようにしたいですね。
デメリット① 風邪をひきやすい
口呼吸のデメリットとしてまず挙げられるのは、風邪をひきやすくなってしまうことです。口呼吸をすると、空気中のウイルスや細菌などが取り除かれることなく直接喉の粘膜や肺に届いてしまいます。
さらに口呼吸は乾燥しやすくウイルスや細菌の働きが活発になり、風邪をひきやすくなるというデメリットがあります。口呼吸を治すだけでも風邪やインフルエンザなどの予防につながるので、積極的に改善したいところです。
デメリット② 睡眠を妨げる
いびきや睡眠時無呼吸症候群は、口呼吸によって舌が喉の奥に落ち、気道がふさがることで起こります。眠りが浅くなって質の良い睡眠を妨げるだけでなく、重症になると脳卒中や心不全などの突然死を引き起こすことも。早急に対処をしたほうが良いといわれている病気です。
また大きないびきは、自分だけでなく一緒に眠っている人の睡眠を妨げてしまいます。隣で眠る大切な人のために、そして突然死のリスクを減らすためにも、いびきや睡眠時無呼吸症候群が現れている場合には口呼吸を改善してみましょう。
状態によっては口呼吸を改善しても、いびきや睡眠時無呼吸症候群が改善されないこともあります。原因は呼吸だけでないことも多いので、気になるときには専門家へ相談してください。
デメリット③ 口臭・歯周病・口内炎などの口内トラブルにつながる
口呼吸には口臭や歯周病、口内炎などの口内トラブルを引き起こしやすくなるデメリットも挙げられます。
口臭や歯周病などは、正しい歯みがきで予防が可能です。しかし歯みがきができていても、口呼吸によって口内が乾燥して唾液の分泌量が少なくなると、口臭などの口内トラブルが発生します。
口内の殺菌や汚れを洗い流すという、重要な役割を持っている唾液。口呼吸によって口内が乾燥すると口内を清潔に保つことが難しくなり、口臭や歯周病、口内炎などといったトラブルを引き起こす可能性が高くなるため注意が必要です。
デメリット④ 歯並びや顔の形に影響する
歯並びや顔の形に影響を与えるというのも、口呼吸のデメリットです。たとえばキレイな歯並びには、唇や頬の筋肉による外側からの力と、舌による内側からの力の両方が大切になります。
しかし、口呼吸によって日常的に口が開いていると外側からの力が弱くなったり、舌の位置が悪くなることで前歯が押されてしまうなど歯並びに影響を与えます。
また、成長期の口呼吸には特に注意が必要です。口呼吸によって唇や頬の筋肉による外側からの力が加わらなかったり、口輪筋をはじめとする口の周りの筋肉が緩んだりすることがあごの発達に影響し、顔の形に悪影響を及ぼしてしまいます。
口輪筋の緩みは表情筋の緩みなどにもつながり、さらには皮膚のたるみも引き起こします。皮膚がたるむとシワや二重あごのリスクにもなることから、いつまでも若々しくいたい方や美容に力を入れている方には特に知っておいてほしいデメリットです。
鼻呼吸のメリット
口呼吸には多くのデメリットがある一方、鼻呼吸にはさまざまなメリットがあります。鼻呼吸には、口呼吸のデメリットで記述したことと逆の現象が現れると考えて良いでしょう。
- 鼻毛や鼻水が空気中のウイルスやごみなどを取り除き、空気の温度・湿度の調整も行なうため、風邪をひきにくい
- いびきや睡眠時無呼吸症候群の予防につながり、質の良い睡眠がとれる
- 口内が乾燥しないことから唾液が殺菌・自浄作用の役割をこなし、口臭や歯周病、口内炎などの口内トラブルを防止する
- 口を閉じて呼吸を行なうため、唇や頬の筋肉による内側への力と舌による外側への力のバランスが取れ、歯並び・顔の形が良くなる
口呼吸から鼻呼吸に改善する方法
口呼吸のデメリット・鼻呼吸のメリットを理解したら、続いては口呼吸を改善するための方法について紹介します。口呼吸から鼻呼吸へ改善する方法は気軽に試せるものばかりなので、ぜひ参考にしてくださいね。
口呼吸防止用のテープを口に貼る
どれだけ鼻呼吸を意識しようとしても睡眠中は無意識で呼吸を行なうため、口呼吸に戻ってしまう可能性が十分に考えられます。そんなときに利用したいのが、口呼吸防止用のテープです。
口呼吸防止用のテープとは、無意識に口が開かないよう寝る前に口を閉じた状態で貼るテープのこと。テープで物理的に口が開いてしまわないようにすることで、意識のない睡眠中にも鼻呼吸を続けられます。
口呼吸防止用のテープはさまざまな素材のものがあるので、肌荒れなどが気になる方は説明をよく読んで選ぶようにしてください。ドラッグストアなどで手に入ることから、気軽に取り入れられるのも魅力です。鼻づまりなどがなく鼻呼吸がスムーズにできるのであれば、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか?
マウスピースを使う
睡眠中の口呼吸を防ぐには、マウスピースを使う方法もあります。マウスピースには、上下の歯を固定することによって口呼吸を防止するものや、睡眠時無呼吸症候群の方専用のものなどがあり、状況に応じて自分に合ったものを選ぶことが大切です。
マウスピースには薬局や歯科医院で購入できるものもありますが、睡眠時無呼吸症候群の方は専門家に相談し専用のマウスピースをつくるようにしましょう。
口周りの筋肉を鍛える
鼻呼吸を促すためには、口輪筋などといった口周りの筋肉を鍛えることも有用です。口の周りの筋肉が発達することで口を閉じる筋力が備わり、無意識に口を開けて口呼吸をしてしまう心配がなくなります。
口の周りの筋肉を鍛える方法として、「あいうべ体操」がオススメです。簡単にできる体操なので、隙間時間などを使って試してみてくださいね。
- 「あー」と発音するように口を大きく開ける
- 「いー」と発音するように口をぐいっと横に広げる
- 「うー」と発音するように口を強くとがらせる
- 「べー」と舌を下方向にしっかり出して伸ばす
歯科医院でトレーニング方法を教えてもらうことも可能です。自己流で取り組んでみることも良いですが、専門家のアドバイスを受けて行なうほうが改善の近道になることもあります。やってみたけれど上手くいかない、あまり効果を感じない、どれが良い方法か分からないときには早めに相談してみましょう。
病院に相談する
口呼吸は、鼻炎などの鼻づまりや歯並びが影響していることもあります。鼻づまりが口呼吸の原因となっている場合は耳鼻科、歯並びの悪さが原因となっている場合には歯科医院に相談することも大切です。
また自分では口呼吸の原因が分からないといった場合は、まず病院に相談すると良いでしょう。「鼻のとおりが悪い」「口の中が乾燥していることがある」「顔の形が変わってきた気がする」など、自覚症状があれば診察時に伝えると原因を突き止めやすいですよ。
デメリットの多い口呼吸から鼻呼吸へと変えて快適に
口呼吸は風邪をひきやすかったり、睡眠の質が悪くなったり、口臭や歯周病を引き起こしたりとさまざまなデメリットがあります。
一方、本来の呼吸である鼻呼吸には空気に含まれるウイルスやごみを除去したり、空気の温度や湿度の調整を行なったりと、メリットが多くあります。
もし口呼吸をしている傾向があれば、紹介した対策を参考にして改善に取り組んでください。口呼吸になってしまっていると諦めず、鼻呼吸に切り替えて快適な毎日を送りましょう。
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