知覚過敏の原因を徹底解説! 歯がしみるメカニズムや対処法を学んで、健やかな毎日へ
冷たいものを飲んだり歯を磨いたとき、歯が“キーン”としみるようなら知覚過敏の可能性が考えられます。歯がしみる状態のままでは、美味しい料理を味わうことや、食後の歯みがきも十分にできません。この記事では知覚過敏に悩む方へ、歯がしみる原因・メカニズムを詳しく解説します。有効な解決策を知って、健康な口内環境を手に入れましょう。
知覚過敏の症状やメカニズムとは?
知覚過敏は、健康な口内と比べて何が違うのか。ここでは知覚過敏の症状や起きてしまうメカニズムなどを説明します。
知覚過敏の症状
知覚過敏とは、刺激に対して通常よりも強い痛みや違和感を覚える状態です。特に冷たいものがしみるイメージですが、熱いもの・甘いもの・酸っぱいものにも同じような症状が表れるケースがあります。
症状が進行すると食事や歯みがきが困難になる恐れも。日常生活に支障をきたす前に、早めの対処が必要です。
知覚過敏が起きるメカニズム
本来歯はエナメル質で覆われ、外部の刺激から守られています。しかし何かしらの理由でエナメル質が削れたり欠けたりすると、「歯がしみる」知覚過敏を引き起こします。
なぜ歯がしみるのでしょう。それはエナメル質の下に存在する象牙質(ぞうげしつ)が大きく関係しています。象牙質には象牙細管(ぞうげさいかん)という神経に通じる無数の穴が開いています。象牙質が露出すると、この象牙細管を通じて冷たい・熱いなどの刺激が神経へ直接伝わることに。これが歯がしみる症状につながるのです。
象牙質がむき出しになる原因は、「エナメル質の削れ・欠け」以外にも「歯ぐき下がり」が挙げられます。普段歯肉に覆われて見えない歯の根元部分は、エナメル質に守られていません。そのため強いブラッシングで歯ぐきが傷つき下がると、象牙質が露わになり歯がしみてしまいます。
「知覚過敏」と「むし歯」の違い
知覚過敏とは、神経が刺激に対して敏感になっている状態のこと。一方、むし歯はむし歯菌が原因で起こる病気です。むし歯がしみる時間は知覚過敏より長く持続するのが特徴で、さらに症状が進行すると痛みを伴います。
知覚過敏が起きる主な6つの原因
知覚過敏が起きてしまう主な6つの原因を紹介します。一つひとつ詳しく見ていきましょう。
① 強いブラッシング
歯や歯ぐきに過剰な力がかかる強いブラッシングは、「歯のエナメル質が削れる」「歯ぐきが下がる」といった口内トラブルのもとに。これらが知覚過敏の原因になります。
いずれも全体的に歯がしみるという症状が一般的です。しかし歯の削れ方は1本1本異なることから、部分的にしみるパターンも。歯ブラシが当たるとピキッと鋭い痛みを感じる場合もあります。
② 歯ぎしり・食いしばり
歯ぎしりや食いしばりによって歯にかかる力は相当なもの。歯のエナメル質が欠けたり、噛み合わせの部分が削れたりして、知覚過敏を引き起こします。
歯のエナメル質が欠けた場合、常に痛みを感じるというわけではありません。歯ブラシの毛先が当たった瞬間にピキッと痛みが走ります。肉眼ではどこが欠けているかわからず、歯みがきの際にヒヤヒヤする人も多いようです。
また噛みせ合わせの部分が削れていると、奥歯を中心にしみるように感じます。
③ 歯の亀裂・破折(はせつ)
歯に亀裂や破折が生じることで内部の神経に刺激が伝わり、強い痛みを伴う場合があります。神経のない歯であれば痛みは感じませんが、放置すれば歯ぐきの中に膿がたまるなど別のトラブルのもとになります。
歯の亀裂や破折が起きるのは、歯に強い力がかかったとき。飴や氷など硬いものをバリバリと強く噛む癖がある方は注意しましょう。痛みを感じる前の予兆として小さな亀裂ができることがありますが、自分ではなかなか気づけません。心当たりのある方は歯科医院で確認してもらうと良いでしょう。
④ 歯周病
歯周病によって歯ぐきが下がると、歯の根元が露出して知覚過敏が起こりやすい状態に。症状としては歯ぐきが下がっている場所全体がしみます。
露出した歯の根元はエナメル質よりもやわらかい組織です。根元を磨こうと力強くブラッシングすれば、さらなる知覚過敏の悪化につながります。
⑤ 酸しょく歯
酸しょく歯は、酸性の飲食物によって歯の表面が溶けてしまう現象です。歯のエナメル質が溶けるので冷たいものがしみます。日頃から酸性の飲食物を多く摂る方は回数を控えたり、長時間にわたる摂取は避けたりしましょう。
酸しょく歯は歯科医院でないと状態が判断できません。気になる方は一度診てもらってください。
⑥ ホワイトニング
ホワイトニングは「歯の表面に付いた着色汚れを除去する方法」と「エナメル質を漂白する方法」の2種類があります。
エナメル質を漂白する方法は、歯を少し溶かすことから知覚過敏を起こすリスクが。ホワイトニングの施術中にしみると感じたときは、我慢せずに歯科医師へすぐ伝えましょう。施術後、知覚過敏の症状が表れる可能性もあります。大半は一時的なものですが、もししみる症状が長引くという方は歯科医院に相談してください。
知覚過敏を改善! 自宅&歯科医院での対応策
知覚過敏を改善するには自宅と歯科医院、どちらのケアも大切です。以下でそれぞれの対処法について説明します。
自宅での知覚過敏対策
アイテムを替えたり、歯みがきのやり方を見直したり。自宅でのちょっとした工夫が、知覚過敏の改善につながります。ぜひ毎日の歯みがきに取り入れてみてください。
知覚過敏用歯みがき粉の使用
歯がしみる方には、知覚過敏用歯みがき粉が最適です。主に硝酸カリウムや乳酸アルミニウムなど、神経への刺激を軽減する成分が配合されています。
ただし研磨剤入りの歯みがき粉は歯や歯ぐきを傷つけ、知覚過敏の症状を悪化させる危険性が。研磨剤無配合のものや、入っていても少量のものを選ぶようにしましょう。知覚過敏用歯みがき粉を使用しても症状が変わらない場合は、歯科医院に相談してください。
ブラッシング圧の調整・やわらかい歯ブラシの使用
硬い歯ブラシでの強いブラッシングが原因で、知覚過敏が起きているときがあります。その場合は「やわらかめ」の歯ブラシに見直すのがオススメ。ただし、やわらかいだけの歯ブラシではプラーク(細菌のかたまり)を落とす力が弱いため、細菌をしっかり落とせる「コシの強さ」も兼ね備えた歯ブラシを選んでください。
はじめはやわらかい歯ブラシにもの足りなさを感じ、ブラッシングに力が入ってしまうかもしれません。ブラシの毛が寝ない程度の力でシャカシャカと動かし、歯や歯ぐきを傷つけずに細菌を取り除くよう心がけましょう。
歯科医院での知覚過敏対策
歯科医院では丁寧なカウンセリングのもと、症状の程度や歯と歯ぐきの状態に合わせて適切な処置・治療法を提案してくれます。具体的にはどのような方法が考えられるのか。代表的なものを挙げてみました。
コーティング材の塗布
コーティング材を歯の表面に塗布して保護する方法です。歯の削れが大きい場合には、ペースト状のものを詰めるケースもあります。
フッ素の塗布
フッ素を歯に塗布することで知覚過敏を抑制します。フッ素には歯が酸に強くなる「エナメル質の強化」や、溶け出した成分を歯に戻す「再石灰化」を促進する効果があるためです。さらに口内の細菌の働きを抑えるので、むし歯や歯周病の予防も期待できます。
歯周病治療
歯周病が進行すると歯を支える骨に影響を与え、知覚過敏の原因となる歯ぐき下がりを引き起こします。大切なのは歯周病になる前の「歯肉炎」の段階で治療すること。歯ぐき下がりを最小限に抑えて、健康な状態に戻せる可能性があります。早めの発見・治療をするためにも、歯科医院には定期的に通いましょう。
マウスピースの作成
歯ぎしりや食いしばりは、知覚過敏の原因となるエナメル質の削れにつながります。予防策としてオススメなのがマウスピースの活用です。市販でも手に入りますが、マウスピースが合っていないと睡眠の質が低下し、歯ぎしり・食いしばりが悪化する懸念も。歯科医院で自分に合ったものを作成してもらうほうが安心です。
正しいケアを実践して、知覚過敏知らずの毎日を!
歯がしみるという方は、歯みがきの方法やアイテムの見直しをオススメします。症状が気になる方は、歯科医院でしっかり診てもらいましょう。
「かき氷が食べたい」「冷たいジュースが飲みたい」。そう思ったときにいつでも美味しく味わえるように。正しいケアと知識を身につけて、健康な歯や歯ぐきを手に入れてください。
Supervisor監修者
株式会社オーラルケア 歯科衛生士
スウェーデンで確立された、予防歯科の考え方と実践方法を熟知している“予防のエキスパート”。エビデンスに基づいた歯を守る方法とその重要性について、幅広く情報発信を行なっています。歯科医療従事者、企業・団体、一般生活者に向けて、セミナーや教育活動を展開中です。
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