歯みがき粉の種類は何がある? 目的・悩みに応じた選び方や成分を把握しておこう!
歯みがき粉にはさまざまな種類があるため、どれが自分に合っているのかわからない方も多いのではないでしょうか? そこで今回は、歯みがき粉の形状や目的別の種類と選び方を紹介します。成分についても詳しく解説するので、歯みがき粉選びに迷っている方はぜひ参考にしてください。
歯みがき粉の役割
歯みがき粉の基本的な役割は、歯ブラシでプラーク(細菌のかたまり)を落とすのをサポートすることです。配合成分によっては、口腔内環境を整える役割もあります。歯みがき粉を使って歯を磨くことで、歯に付いた汚れをしっかりと落とし、むし歯や歯周病などの口腔内トラブルを予防できます。
歯みがき粉を使う主な目的はプラーク(細菌のかたまり)の除去ですが、種類によってはホワイトニング効果や口臭予防効果を持つものもあります。歯みがき粉を選ぶ際は、口の中のお悩みや求める効果に合わせて選ぶのがオススメです。
歯みがき粉の選び方で注目したい成分
歯みがき粉に配合されている成分は、基本成分と薬用成分の2種類に大別されます。ここでは歯みがき粉に使用される基本成分と薬用成分の違いや、具体的な成分名を紹介します。
基本成分
歯みがき粉の基本成分には、以下の6種類があります。
成分の働き |
成分名 |
|
研磨剤 |
プラーク(細菌のかたまり)や着色汚れ(ステイン)を落とす |
・無水ケイ酸 ・重質炭酸カルシウム ・リン酸水素カルシウム ・リン酸水素ナトリウムなど |
発泡剤 |
口腔内に歯みがき粉を広げる |
・ラウリル硫酸ナトリウムなど |
湿潤剤 |
歯みがき粉の伸びや操作性を良くする |
・グリセリン ・ソルビトールなど |
粘結剤 |
粘度を高めて形を保つ |
・アルギン酸ナトリウム ・カラギーナンなど |
香味剤 |
味や香りで爽快感を与える |
・サッカリンナトリウム ・メントールなど |
保存料 |
変質を防ぐ |
・パラベン酸 ・安息香酸ナトリウムなど |
それぞれの成分に配合するメリット・デメリットがあるので、自分にとって必要かどうかを見極めることが大切です。
たとえば、研磨剤はプラーク(細菌のかたまり)や着色汚れを磨き落とせる成分ですが、ブラッシングの圧が強いと歯や歯ぐきを傷つけることがあります。また、発泡剤が多く含まれた歯みがき粉は口腔内全体に広がりやすい一方で、泡立ちが良すぎて歯みがきを早めに切り上げがちになるという側面もあるので注意しましょう。
薬用成分
薬用成分とは、厚生労働省から効果が認められた成分のことです。
成分の働き |
成分名 |
|
フッ素 |
むし歯を予防する |
・フッ化ナトリウム ・モノフルオロリン酸ナトリウムなど |
殺菌剤 |
口腔内の菌の増殖を抑える |
・塩化ベンザルコニウム ・塩化セチルピリジニウムなど |
抗炎症剤 |
歯ぐきからの出血防止 |
・トラネキサム酸 ・プシロンアミノカプロン酸など |
ヤニ取り |
・ポリエチレングリコール |
歯みがき粉に配合されている薬用成分は、むし歯予防効果を持つフッ素が代表的です。フッ素は、日本で販売されている歯みがき粉のほとんどに配合されています。
もちろん、薬用成分はフッ素以外にもさまざまな種類があります。歯みがき粉を選ぶ際は、ホワイトニングや歯周病予防など、目的に合わせた薬用成分に注目しましょう。詳しい成分名については後ほど紹介するので、ぜひ参考にしてくださいね。
歯みがき粉の種類別! オススメの選び方
歯みがき粉は形状や成分、使用目的でいくつかの種類に分類できます。ここからは、歯みがき粉の種類を紹介しつつ、どのような方にオススメなのかをお伝えします。自分に合った歯みがき粉選びの参考にしてくださいね。
選び方①歯みがき粉の<目的や成分>の種類で選ぶ
歯みがき粉は目的や成分の種類に注目して、選ぶのがオススメ。口の悩みに合わせた機能のアイテムを選びましょう。
むし歯予防
むし歯予防効果を重視したい場合は、フッ素が配合された歯みがき粉を選ぶようにしましょう。フッ素の働きによって、むし歯菌の働きを弱めたり歯の表面を強化したりできます。
- モノフルオロリン酸ナトリウム
- フッ化ナトリウム
- フッ化リン酸
また、むし歯予防用の歯みがき粉を選ぶときは、フッ素の濃度にも注目しましょう。歯が生えてから2歳までは900〜1000ppmF、3〜5歳は900〜1000ppmF、6歳~成人・高齢者であれば1400〜1500ppmFのアイテムを選ぶのがオススメです。
※フッ素濃度の記載がないアイテムもあります。
歯周病予防
歯周病の予防を目的とする場合は、殺菌効果の高い成分が配合された歯みがき粉を選ぶのがオススメ。ただし、殺菌効果が高かったとしても、プラーク(細菌のかたまり)が残っていれば歯周病は起こってしまうので、日々のケアが重要です。歯周病菌を除去することで歯周病の進行を食い止め、健康な歯ぐきを保てます。
- イソプロピルメチルフェノール(IPMP)
- 塩化セチルビリジニウム(CPC)
- 塩酸クロルヘキシジン
- 酢酸トコフェロール
口臭予防
口臭が気になる場合は、口臭の原因となる菌を殺菌できる成分が配合された歯みがき粉を選びましょう。ただし、殺菌効果があっても、プラーク(細菌のかたまり)が残っていたり歯ぐきが晴れていれば口臭は改善・予防できません。
- イソプロピルメチルフェノール(IPMP)
- 塩化セチルビリジニウム
- ラウロイルサルコシンナトリウム(LSS)
口臭が気になる場合は、歯周病などの病気が原因となっていることもあります。原因が何かわからない場合は、歯みがき粉だけでなんとかしようとせず歯科医院で診てもらうようにしましょう。
ホワイトニング
ホワイトニング…と聞くと、歯を白くする成分と考えるのではないでしょうか? 歯みがき粉に書いてあるものの多くは、歯自体を白く漂白するのではなく、歯の表面についた着色汚れを除去してくれます。
歯の表面の傷は、着色しやすくなる原因になりますので、研磨剤がたくさん入った歯みがき粉を避ける・歯と同じ成分の入った歯みがき粉をあわせて使うのもオススメです。
- ポリリン酸ナトリウム
- ポリエチレングリコール
- ヒドロキシアパタイト
知覚過敏用
冷たいものがしみる知覚過敏に悩んでいる方には、歯の神経への刺激を軽減できる成分が配合された歯みがき粉をオススメします。
- 硝酸カリウム
- 乳酸アルミニウム
また、知覚過敏の方が研磨剤入りの歯みがき粉を使うと、症状を悪化させることがあるため要注意。知覚過敏が気になる方は、研磨剤フリーのアイテムを選びましょう。
ですが、歯磨き粉だけではカバーできないものが多いため、気になったときは歯科医院へ相談すると良いでしょう。
子ども向け
子ども向けの歯みがき粉を選ぶ際は、フッ素などのむし歯予防成分が配合されているかに注目しましょう。乳歯はむし歯になりやすいため、日頃からしっかり予防することが大切です。
フッ素配合の歯みがき粉は、子どもの年齢に合った濃度のものを選びましょう。6歳未満の幼児には1000ppm以下、うがいができない乳幼児に使用する場合は500ppm以下のフッ素濃度の歯みがき粉がオススメです。
フッ素濃度が高い大人用の歯みがき粉を使ったり、歯みがき粉をチューブから大量に飲み込んでしまったりすると、中毒症状を起こす恐れがあるので注意してください。
選び方②歯みがき粉の<形状>の種類で選ぶ
次に、ペーストやジェルなどの形状別の種類を紹介します。成分や使い心地に差があるので、好みに合わせて選びましょう。
ペーストタイプ
ペーストタイプは、最もメジャーな形状の歯みがき粉です。発泡剤が含まれているため泡立ちが良く、口腔内全体に広がりやすい使用感が特徴で、歯みがき後のスッキリ感を求める方にオススメです。
また、商品のバリエーションが豊富なこともペーストタイプの特徴のひとつ。さまざまな種類の歯みがき粉の中から好みのアイテムを選べるので、自分好みの歯みがき粉が見つかりやすい点もポイントです。
ジェルタイプ
ジェルタイプの歯みがき粉は粘度が高く、ジェルが歯の表面や隙間にぴったりと密着するため、成分が行き渡りやすい特徴があります。
ジェルタイプの歯みがき粉は研磨剤を含まないアイテムが多いため、研磨剤による歯や歯ぐきへの影響が気になる方、口が泡だらけになる感覚が苦手な方にオススメです。ただし、ペーストタイプのような爽快感は得にくいため、スッキリとした磨き心地が好みの方には物足りなく感じることもあるでしょう。
液体タイプ
液体タイプの歯みがき粉は、歯ブラシにつけるのではなく、口に含んで使用するアイテム。液体歯みがき粉でうがいをした後に歯みがきをするので、成分が口全体に行き渡りやすいのが特徴です。
液体タイプの歯みがき粉を使用した後は、口をゆすがずそのまま過ごしてOK。液体タイプの歯みがき粉には研磨剤と発泡剤が含まれていないので、歯や歯ぐきへのダメージに配慮したい方や、口が泡だらけになる感覚が苦手な方にオススメです。
粉タイプ
粉タイプの歯みがき粉は、水や粘結剤が含まれていないのが特徴です。コンテナ型の容器に入ったパウダーを歯ブラシにつけて使用します。
粉タイプの歯みがき粉は粉を吸い込んでむせたり、粉っぽさが口に残ったりとパウダー状ならではの使用感があります。添加物の使用を控えたものが多いため、無添加にこだわりたい方へオススメ。
フォームタイプ
フォームタイプの歯みがき粉は、泡で出てくるのが特徴です。使い方はペーストタイプのものと同様で、歯ブラシに適量を取ってブラッシングするだけ。泡がきめ細かいため口腔内に行き渡りやすい点や、ゆすぎが簡単な点が魅力のアイテムです。
歯みがき粉を選ぶときの注意点
歯みがき粉を選ぶ際は、口腔内の環境に合わせて成分を選ぶようにしましょう。たとえば知覚過敏や着色が気になる方は、歯や歯ぐきを傷つける恐れのある研磨剤入りのものを避けるのがオススメです。
また、唾液量の減少などで口腔内が乾き気味の方は、口の中を乾燥させるラウリル硫酸ナトリウムやエタノール配合の歯みがき粉を避けて選ぶと良いでしょう。
効果的な歯みがき粉の使い方
ここからは、歯みがき粉の効果を最大限に発揮させる使い方を紹介します。
乾いた歯ブラシに歯みがき粉をのせる
歯みがき粉は、乾いた状態の歯ブラシにのせるようにしましょう。というのも、濡らした歯ブラシに歯みがき粉をつけると、歯みがき粉が薄まったり泡立ちが良くなりすぎたりする可能性があるからです。
泡立ちが良くなると、本当は磨けていなくても泡が行き渡ることでしっかり磨けたように錯覚してしまうため注意してください。
歯みがき粉の量は?
歯みがき粉の量は、歯ブラシのはじからはじまでが適正量となります。使用量が少なすぎると効果を発揮できないので、適正量を使うようにしましょう。
歯みがき粉の使用量は商品によって異なる場合があるので、詳しくはご使用の製品情報を確認してください。
うがいは水の量と回数に注意
歯みがきをした後のうがいは、少量の水で1回のみ行なうようにしましょう。うがいをしすぎると歯みがき粉の成分が洗い流されるので、口腔内トラブルの予防や薬用成分の効果が減少してしまいます。ブラッシング後のうがいは、軽くゆすぐ程度にとどめましょう。
自分に合った種類の歯みがき粉で口腔内の健康を維持しよう
今回は、歯みがき粉の種類や選び方を紹介しました。歯みがき粉は、ペーストやジェルなどの形状別の種類のほか、目的や成分別の種類にも分けられます。 自分に合った歯みがき粉を選び、口の中の健康を守りましょう。
Supervisor監修者
株式会社オーラルケア 歯科衛生士
スウェーデンで確立された、予防歯科の考え方と実践方法を熟知している“予防のエキスパート”。エビデンスに基づいた歯を守る方法とその重要性について、幅広く情報発信を行なっています。歯科医療従事者、企業・団体、一般生活者に向けて、セミナーや教育活動を展開中です。
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