歯ぐきが下がる原因って何? 健康な歯ぐきをキープする方法や正しいケアを紹介
歯ぐき(歯肉)が下がってきた……と悩んでいませんか? 歯ぐきが下がると見た目の悪さや口内トラブルにつながるため、原因を知って正しく対策することが大切です。そこで今回は、歯ぐきが下がる原因を紹介します。健康な歯ぐきをキープするケア方法もお伝えするので、ぜひ参考にしてください。
Supervisor監修者
株式会社オーラルケア 歯科衛生士
スウェーデンで確立された、予防歯科の考え方と実践方法を熟知している“予防のエキスパート”。エビデンスに基づいた歯を守る方法とその重要性について、幅広く情報発信を行なっています。歯科医療従事者、企業・団体、一般生活者に向けて、セミナーや教育活動を展開中です。
歯ぐきが下がるとどんな症状が出る?
そもそも、歯ぐきが下がることの何が問題なのでしょうか? まずは、歯ぐきが下がるとどんな影響が出るのかを紹介します。
以前より歯が長くなったように感じる
歯ぐきが下がると、以前よりも歯が長くなったように感じます。本来なら歯ぐきに埋もれているはずの歯の根元部分が露出するため、歯の長さが伸びたような印象を受けるのです。
歯が長く見えると見た目が気になり、口元にコンプレックスを感じる原因となります。特に前歯は目につきやすいため、人前で笑えなくなったり口元を隠して話すようになりがちです。
知覚過敏が気になる
歯ぐきが下がると、知覚過敏の原因になることをご存じですか? 歯ぐきから出ている部分の歯はエナメル質で覆われているのに対し、歯ぐきに埋まっている部分はセメント質に覆われています。
セメント質はエナメル質よりも薄くやわらかい部分。そのため歯ブラシなどで削れると、冷たいものや熱いものの刺激が伝わりやすくなってしみてしまうのです。冷たいものや温かいものだけでなく、甘いものを口にしたり歯みがきをしたときなどにも「しみて痛い」と感じることがあります。
痛みのせいで食事が楽しめなくなったり、口内のケアがおろそかになったりする原因となるため、知覚過敏が気になるときには早めに歯科医院に相談をしましょう。
歯と歯の間に食べ物が詰まりやすくなる
健康な歯ぐきは歯と歯の間が埋まるように三角形になっています。しかし、歯ぐきが下がると歯の間の隙間が空いていくことに。
歯ぐきが下がって生じた隙間には、肉類やほうれん草、ゴマ、米粒などの食べ物が詰まりやすくなります。また歯の間をしっかり掃除できていない場合、プラーク(細菌のかたまり)がたまる原因にもなってしまうのです。
プラーク(細菌のかたまり)の放置は、むし歯や歯周病を引き起こしやすくします。
歯のグラつきが気になる
歯ぐき下がりの原因が歯周病の進行による場合、歯を支えている骨自体が減ってしまうため歯がグラつき始めます。骨が少し減るレベルではグラつくことはありませんが、程度によってグラつきが大きくなるため注意が必要です。
歯がグラつくと食べ物を噛みにくくなります。歯が大きく揺れて痛みを感じる場合もあるでしょう。放っておくと歯が抜けてしまうことにもつながるので、歯のグラつきが気になりだしたらできるだけ早く歯科医院を受診してください。
歯ぐきが下がる原因
見た目や口内環境にさまざまな影響を及ぼす歯ぐき下がり。なぜ歯ぐきは下がってしまうのでしょうか? ここでは、歯ぐきが下がる8つの原因を紹介します。
原因① 歯周病の進行
歯ぐきが下がる原因としてまず挙げられるのは、歯周病の進行です。歯周病とは、文字通り「歯の周りの病気」のこと。歯周病菌によって歯ぐきが炎症を起こし、悪化すると歯の土台となる骨が溶ける病気です。
歯周病になると、歯ぐきが赤く腫れたりします。腫れている最中は歯ぐきが下がっていることに気づきにくいですが、歯周病の治療やセルフケアの強化によって腫れが落ち着くと歯ぐきが引き締まり、歯ぐきが下がっていることに気づきます。知らないうちに歯を支えている骨が減っているため、治療後にビックリする人も少なくありません。
歯周病は磨き残しや喫煙習慣、免疫力の低下、噛み合わせの問題などが原因で進行しやすくなります。適切な歯みがきでプラーク(細菌のかたまり)を取り除くだけでなく、喫煙や食事、睡眠などの生活習慣も見直して歯周病対策をすることが大切です。
また歯周病による歯ぐき下がりを防ぐためにも、セルフケアとあわせて歯科医院で定期的にメインテナンスを受けることをオススメします。
原因② 歯みがきの力が強い
歯ブラシで力強くゴシゴシと歯を磨くと、過剰に歯ぐきを刺激したり傷つけたりして歯ぐきが下がってしまいます。
さらに、歯ぐきだけでなく歯の表面が傷ついたり削れたりする原因にも。口の健康のために、歯みがきの力にも注意してケアを行なうようにしましょう。
原因③ 加齢
歯ぐきが下がる原因のひとつに加齢があります。年を重ねるにつれて、歯ぐきが痩せたように見えることがあるのです。
とはいえ、加齢だけが原因で極端に歯ぐきが下がることはありません。健康な歯ぐきを保つことで歯ぐきの下がりは最低限に抑えられるので、適切なケアを続けることが大切です。
原因④ 歯ぎしりや食いしばり
歯ぎしりや食いしばりは、歯ぐきが下がる原因の一つといわれています。歯ぎしりや食いしばりの際には体重の2〜5倍程度の力が加わるため、歯や歯ぐきに大きな負担がかかるのです。
歯ぎしりや食いしばりを放置していると歯ぐきが下がるだけでなく、歯がすり減る、削れる、欠けるなどさまざまな影響を及ぼす可能性があります。
肩こりや頭痛といった体調面の不調の原因になることもあるため、早めに対策しましょう。
原因⑤ 歯並びの悪さ
歯並びの悪さは、歯ぐきが下がる間接的な原因となります。うまくケアができず、磨き残しが生じやすいため歯周病になりやすくなるのです。しっかり歯を磨けていないと、歯周病だけでなくむし歯の原因にもなるので注意しましょう。
また歯並びが悪いと特定の歯に強い力がかかり、歯と歯ぐきに負担がかかって歯ぐきが下がりやすくなる傾向もあります。口内環境の悪化につながる恐れもあるので、歯並びを整える治療を検討するのがオススメです。
原因⑥ 矯正治療
歯並びを整える矯正治療が原因で、歯ぐきが下がることもあります。強い力を加えて急激に歯を移動させようとすると、歯を支えている骨の成長が追いつかず、歯ぐきが下がったような仕上がりになる場合があるのです。
歯並びを早くキレイに整えたいからと焦りすぎず、矯正治療は適切な時間をかけて進めましょう。治療にかかる期間は歯並びの状態によって異なるので、歯科医院で確認してください。
原因⑦ むし歯の詰め物や被せ物が合っていない
むし歯治療の詰め物や被せ物が合っていないことも、歯ぐきが下がる原因となります。
- 高さが合わない:噛み合わせに問題が出て歯ぐきに負担がかかる
- 歯ぐきに当たっている:歯ぐきの炎症を引き起こす
- 歯との境目が合っていない:プラーク(細菌のかたまり)がたまりやすくなり、歯周病の原因となる
むし歯の治療後、詰め物や被せ物に違和感がある場合は歯科医院で相談しましょう。
原因⑧ 爪を噛む癖
爪を噛む癖も、歯ぐきが下がる原因になるといわれています。
爪を噛む癖には、感染症のリスクが高まったり見た目が悪くなったりするデメリットもあります。ふとした瞬間につい爪を噛んでしまう方は、癖を直すよう心がけてください。
下がった歯ぐきは元に戻せる?
一度下がってしまった歯ぐきを引き上げ、元に戻すことは可能なのでしょうか? 特に前歯の歯ぐきが下がっていると見た目に違和感が生じるため、治したいと感じる人は多いようです。ここでは下がった歯ぐきを改善する方法を紹介します。
一度下がると自然に改善することはない
下がってしまった歯ぐきは、残念ながら自然に改善することはありません。それどころか、歯ぐきが下がる原因があるのにそのまま放置すると、より歯ぐき下がりが進行する可能性さえあります。
歯ぐきが下がったように感じたら、自分でどうにかしようとせず歯科医院で診てもらいましょう。歯科医院で歯ぐきが下がる原因をチェックしてもらい、早めに適切な治療を受けることで、これ以上歯ぐきが下がらないように対策できます。
歯ぐきの状態の改善を目指すためには歯科医院での治療が必要
歯ぐき下がりを改善する方法として、歯ぐきの移植や歯周組織の再生といった外科治療や、ヒアルロン酸注入などがあります。
ただし、歯ぐきの状態によっては治療できない場合もあります。歯科医院で歯ぐき下がりが気になっていること、改善したいと思っていることを伝えたうえで検査を受け、治療方法を選択してください。
歯ぐきが下がるのを防ぐ対策方法
歯ぐきは一度下がると元に戻すのが難しいので、下がらないようにケアすることがとても大切です。ここでは、歯ぐきが下がるのを防ぐ対策方法を紹介します。
やわらかめの歯ブラシを使う
歯ぐきが下がるのを防ぐためには、やわらかめの歯ブラシを使うのがオススメです。硬い歯ブラシでは歯ぐきへの負担が大きいため、歯ぐきにやさしいやわらかめの歯ブラシを使って歯みがきをしましょう。
また歯ブラシを選ぶ際にはやわらかさだけでなく、毛のコシに注目することも大切です。毛がやわらかいだけだとプラーク(細菌のかたまり)を落とす力が弱く、磨き残しが多くなりがち。プラーク(細菌のかたまり)をしっかりと取り除けるコシのある歯ブラシを選ぶようにしてください。
やさしい力で歯を磨く
歯みがきの際には、やさしい力で歯を磨くこともポイントです。プラーク(細菌のかたまり)を落とそうと頑張りすぎると、無意識のうちに歯ブラシを持つ手に力が入りゴシゴシと磨いてしまうことが多いようです。ゴシゴシ磨くと、歯や歯ぐきに負担がかかってしまいます。
力を込めるよりも、歯ブラシの毛をたくさん動かすほうがプラーク(細菌のかたまり)は落とせます。手首や指の力を抜いて歯ブラシを持つようにしてください。歯ブラシを握るように持つよりも、鉛筆のように指先で持つほうが力が入りにくくやさしく磨けます。力が入りがちな方は、持ち方を変えてみることから始めましょう。
歯ぐきが下がる原因となる習慣を改善する
歯ぎしりや食いしばり、爪噛みといった歯ぐきが下がる原因となる習慣を改善することも、歯ぐきを下げないための大切な対策です。
歯ぎしりや食いしばりは、寝ている間に無意識のうちに行なってしまうことも多い癖。歯ぐき下がりだけでなく歯がすり減る原因にもなるので、歯科医院で相談して必要に応じてマウスピースを使用してください。
爪を噛む癖の多くはストレスなどが原因です。そのため、どのようなタイミングで爪を噛んでしまうのかを把握することが対策の第一歩。手袋をつける、爪を短く整える、ネイルを施すなどの対策で爪噛みを防ぎながら、根本的な原因を解消することも重要です。
歯ぐきが下がる原因を知って歯ぐき下がりを防ごう
今回は、歯ぐきが下がる原因を紹介しました。歯ぐきは歯周病や誤ったセルフケア、日頃の習慣などが原因で下がってしまいます。一度下がった歯ぐきを元に戻すのは難しいので、歯ぐきが下がらないよう対策しましょう。
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