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ただ通すだけじゃもったいない! 健康へつながるデンタルフロスの正しい使い方

ただ通すだけじゃもったいない! 健康へつながるデンタルフロスの正しい使い方

歯ブラシの毛が届かない“歯と歯ぐきのすき間”。ここにプラーク(細菌のかたまり)を残したままにしておくと、日に日に増えて歯周病の原因になります。そこで今回は、歯と歯ぐきのすき間をキレイにケアするアイテム『デンタルフロス』を詳しく紹介。正しく使って健康的な歯ぐきをキープしましょう。

更新日: 2023.07.26 アイテムを知る・使う

Supervisor監修者

株式会社オーラルケア 歯科衛生士


株式会社オーラルケア 歯科衛生士

スウェーデンで確立された、予防歯科の考え方と実践方法を熟知している“予防のエキスパート”。エビデンスに基づいた歯を守る方法とその重要性について、幅広く情報発信を行なっています。歯科医療従事者、企業・団体、一般生活者に向けて、セミナーや教育活動を展開中です。

デンタルフロスってどんなもの?

デンタルフロスとは、“歯と歯の間”と“歯と歯ぐきのすき間”にあるプラーク(細菌のかたまり)を落とすことに特化した口腔ケアアイテムです。特に“歯と歯ぐきのすき間”の汚れは、「フロスだからこそ落とせる」といっても過言ではありません。

とはいうものの、デンタルフロスを「難しい」「面倒くさい」と感じる人も多いようです。「やってみたけれど、私には難しくてやめてしまった……」なんて声も。デンタルフロスを習慣にするために、まずはどんな種類のものがあるのか見ていきましょう。

デンタルフロスの種類

デンタルフロスの種類は、大きく分けて2つあります。

1. ホルダータイプ

F字型やY字型のプラスチック製ホルダーに、糸がついているタイプ。使い慣れている歯ブラシと同じように持つところがあるので、気軽に始められる方が多いです。

2. 指巻きタイプ

糸を指に巻いて使うタイプです。好みの長さでカットできるので経済的であるほか、次のようなメリットがあります。

メリット① いつもキレイな糸でケアできる

プラーク(細菌のかたまり)を付けたまま同じ糸を繰り返し使うのは、細菌を移動させているようなもの。指巻きタイプは、歯と歯の間を1ヶ所ケアするごとに汚れた糸を指に巻き取れます。常に清潔な糸でケアできるのが特長です。

メリット② 口の中で動かしやすい

ホルダータイプは歯と歯の間に通しやすいものの、歯のカーブに糸を沿わせて汚れを落とすのが難しいため、テクニックが必要です。その点指巻きタイプは、どの歯もしっかりケアが可能。歯のカーブに糸を沿わせられるうえに、力加減もコントロールしやすいので、きちんとプラーク(細菌のかたまり)を落とすことができます。

より健康な歯ぐきを目指すなら、指巻きタイプを試してみませんか? ここからは、指巻きタイプを簡単に効率よく扱うコツを紹介します。

指巻きタイプを上手に使うコツ

「難しい」と感じてしまいがちな指巻きタイプも、コツをつかめばスムーズに使えるようになります。

1. 糸の長さは“長め”

指巻きタイプを使いにくいと感じる原因の一つに、「引き出している糸が短い」場合があります。糸が短いと指にしっかり巻き付けられず、ケアの途中で指から外れてしまうことが。また、ピンと張るために何本もの指でつまんで固定させる必要があり、口の中がいっぱいになってしまいます。

使いやすい長さは40~50cm。腕の長さを目安に糸を出すと良いでしょう。

2. 糸を巻く指は“中指”

ちょうど良い長さで切った後は、左右の指に巻き付けます。このときに巻くのは「中指」。人差し指に巻いてしまうと、糸をピンと張れなかったりどこに糸を通せばいいのかわかりにくかったりと、口の中でのコントロールが難しくなります。

最初は、「中指でできるかな?」と心配になるかもしれません。しかし、糸を巻く指を変えた途端に「やりやすくなった!」と感じる方もいます。ぜひ中指に巻いてみましょう。

3. 巻き方のポイント

糸を巻く指が決まったら、次は上手な巻き方です。

① 巻き付けるのは第一関節あたり

① 巻き付けるのは第一関節あたり

中指の付け根のほうに巻いてしまうと、糸を口の中に入れるのが難しくなります。かといって指先に近すぎると、ケアの途中で抜けてしまうことも。中指の第一関節あたりに巻き付ければコントロールがしやすく、指先から抜け落ちてしまう心配もありません。このとき巻き始めの糸を重ねるようにすると、ほどけにくくなります。

② 一方の中指に2~3回、残りはもう一方の中指に巻き付ける

どちらか一方の中指に糸を2~3回巻き、残りはもう一方の中指へ。左右の中指の距離が10~15cmくらいになるまで糸を巻き付けましょう。きつすぎると指先が真っ青になってしまうので、やさしく巻くことを心がけて。それでも指が青くなってしまう場合は、いったん糸を外すなどして休ませてから巻き直してください。

4. 糸の持ち方

中指に糸を巻き付けたら、「親指」と「人差し指」でつまみます。これが指巻きタイプの基本姿勢です。

① 左右の指の距離は1cm程度

左右の指の距離が開きすぎていると、どこの歯と歯の間を通しているのかわからなくなってしまいがち。「通しにくい!」と感じている人ほど、指と指の距離が離れている傾向にあります。歯の横幅は1cm程度なので、糸の幅も1cmあれば十分です。もし「これでは狭すぎる」と感じた場合は、さらに0.5~1cm広げてみましょう。

② 使う指を限定する

狭い口の中には入れられる指の本数が限られます。使わない指は曲げておき、ケアの邪魔にならないようにしておきましょう。

奥歯のケア:両手の人差し指を使う

使うのは、両手の人差し指だけです。上の奥歯に入れるときは、中指に巻き付けた糸を両手の人差し指で下から持ち上げるようにし、下の奥歯に入れるときは上からグッと押し付けるようにします。親指、中指、薬指、小指は曲げておきましょう。

● 前歯のケア:親指と人差し指を使う

上の前歯に入れるときは、中指に巻き付けた糸を一方の親指ともう一方の人差し指で下から持ち上げるようにし、下の前歯に入れるときは上からグッと押し付けるようにします。使わない指は曲げておきましょう。

5. 糸の通し方

それでは歯と歯の間に糸を通していきましょう。上手な糸の通し方を紹介します。

① ためらわずに指を口に入れる

普段の生活で口の中に指を入れることは、あまりないかもしれません。しかしデンタルフロスは思い切りが肝心! 特に奥歯の間に通すときは、外側にあるほうの人差し指を頬の奥までしっかり入れます。外側の人差し指が通したい歯と歯の間のところにあると、比較的簡単に糸を通せますよ。

② やさしくゆっくり通す

力まかせに糸を押し込むと、パチンッ! と勢いよく入ってしまい、歯ぐきに刺さって傷ができてしまうことが。歯と歯の間に糸を入れたら、片方の歯に沿わせながらノコギリのようにゆっくり動かして通していきましょう。歯に沿わせることで、側面のプラークをしっかり落とすことができます。

③ 歯ぐきの中1~2mmまで入れる

ゆっくり動かしながら歯ぐきに糸を近づけていき、歯に沿わせたまま歯ぐきの中1~2mmまで入れます。

6. 歯ぐきの中の汚れをかき出す

デンタルフロスは歯と歯の間だけでなく、歯と歯ぐきのすき間のプラーク(細菌のかたまり)を落とせるのが特長です。歯ぐきの中1~2mmにやさしく入れたら、汚れをしっかりかき出しましょう。

7. 汚れた部分は指に巻き取る

一度歯と歯の間に通した糸には、ゴッソリとプラーク(細菌のかたまり)が付いています。そのまま次の場所を掃除するのではなく、汚れた部分を一方の中指に巻き取りましょう。もう一方の中指から一巻きほどいてキレイな糸を使う。これを繰り返してケアしていきます。

歯と歯ぐきのすき間までキレイにして健やかな毎日を目指そう

厚生労働省の調査によると、30代以上の3人に2人は歯周病の所見があるそうです(※)。全身のさまざまな疾患に関係しているといわれる歯周病菌。つまり歯と歯ぐきのすき間のプラーク(細菌のかたまり)を取り除くことは、歯周病や口臭の予防だけでなく、全身の健康を守ることにもつながるのです! 正しいデンタルフロスのやり方を身につけて、健康でイキイキとした毎日を目指しましょう。

(※)厚生労働省『平成28年歯科疾患実態調査結果』

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