歯ブラシ1本で汚れは落とし切れない? 正しい歯みがきのやり方を知ろう
厚生労働省『平成28年歯科疾患実態調査結果』によると、毎日歯を磨いている人はおよそ9割。食後に加え、寝起きや就寝前など1日に何回も磨く人もいるようです。しかし、「磨く回数が多ければ良い」というものではありません。そこで今回は、しっかり汚れを落とす正しい歯みがきの方法を紹介します。
どうして歯を磨かなければいけないの?
多くの人は、歯を磨く理由を「歯に付いた汚れを落とすため」と考えています。では、この“汚れ”とは何だと思いますか? 正解はプラーク(細菌のかたまり)。歯を磨く本当の目的は、食べかすではなく細菌を落とすためなのです。
長い時間プラーク(細菌のかたまり)を歯の表面に付けたままにしておくと、穴があいたり歯ぐきが腫れたりと、むし歯や歯周病の原因になります。かといって「汚れを落とさなくちゃ!」と磨きすぎてしまうと、歯や歯ぐきにダメージを与えてしまう可能性も。負担をかけず、むし歯や歯周病をしっかり予防できるケアの方法を知ることが大切です。
知っておきたい歯みがきの真実
「歯みがきは、歯ブラシ1本で行なう」
それが当たり前になっていませんか? 実は、歯ブラシ1本での歯みがきには落とし穴があるのです。
歯ブラシは万能ではない
一般的に歯ブラシといわれて頭に思い浮かぶのは、毛束が3列に並んでいるものではないでしょうか。ドラッグストアでも、たくさんの種類が並んでいますね。
しかし、一般的な歯ブラシが得意なのは“歯の表面を磨くこと”。細かい部分を磨くのは、あまり上手ではありません。
たとえば部屋に掃除機をかけるとき。家具と家具のすき間や部屋の隅など、掃除機のヘッドが入らない場所のゴミはどうやっても吸えませんよね。一般的な歯ブラシもそれと同じです。
では、口の中の細かい部分とはどこのことを指すのでしょうか?
口の中の細かい部分とは?
歯ブラシで磨き残しやすいのは、次の場所です。
①歯と歯の間や歯ぐきの中1~2mm
歯と歯の間や歯と歯ぐきのすき間は、部屋の掃除でたとえるなら家具と家具のすき間。掃除機が届かないのと同じように、一般的な歯ブラシだけでは絶対にキレイにできません。
②歯がカーブしている部分
前歯と比べると、奥歯は丸くカーブしています。掃除機では部屋の隅のゴミを吸い取れないのと同じように、歯がカーブしている部分の汚れは一般的な歯ブラシではなかなか磨けません。歯医者さんで「磨き残しがありますね」と指摘されやすい場所でもあります。
では、これらの細かい部分をキレイにするにはどうしたらいいでしょうか?
アイテムをかしこく使い分けよう
効率よくキレイに歯を磨くためには、磨く場所に合わせたアイテムの使い分けがオススメです。ここでは3つのアイテムをご紹介します。
アイテム1. デンタルフロス
歯と歯の間と、歯と歯ぐきのすき間の汚れを落とすのにピッタリなのはデンタルフロスです。ゆっくりとしごくように歯と歯の間を通しましょう。そのまま歯ぐきの中1~2mmまで入れたら、隠れているプラーク(細菌のかたまり)をかき出すように動かします。パチンッ! と勢いよく通してしまうと、汚れが落ちないだけでなく歯ぐきを傷つけてしまう危険性も。歯ぐきにやさしい商品を選ぶのもポイントです。
デンタルフロスの正しい使い方
このほかに、歯と歯の間をケアするものとして歯間ブラシがあります。歯と歯の間が広く、デンタルフロスではケアに時間がかかる場合に使うと良いでしょう。ただし歯のすき間とブラシの大きさが合っていないと、歯ぐきを傷つけたりワイヤーで歯を削ってしまったりする可能性も。サイズを選ぶときには注意が必要です。
アイテム2. ワンタフトブラシ
歯がカーブしている部分には、ワンタフトブラシがおすすめ。三角の毛束が歯の隅にフィットするので、汚れをスムーズに落とせます。使い方はペンのように持ち、磨きたい場所にピタッと当ててクルクルさせるだけ。歯ブラシのようにゴシゴシと横に動かすと、上手にプラーク(細菌のかたまり)を落とせないので注意しましょう。
ワンタフトブラシの使い方
アイテム3. 普通の歯ブラシ
いわゆる一般的な歯ブラシです。この歯ブラシも歯みがきには必要ですが、自分に合ったものを選ばないとプラーク(細菌のかたまり)をしっかり落とすことができません。ここでは歯ブラシの上手な選び方を紹介します。
歯ブラシ選びのポイント① ハンドル
歯みがきのしやすさで選ぶならストレートハンドルを。どんな方にも扱いやすいのでオススメです。ハンドルに角度やカーブがついていると、「この場所はキレイになるけれど、あの場所はぜんぜん磨けない」ということが起きるため、持ち方に工夫が必要となります。
歯ブラシ選びのポイント② ヘッド
大きいヘッドのほうが効率よく磨けるように感じますが、実はその逆。口の中は狭くて小さいため、大きいヘッドだと小回りが利かずに磨き残しが増えてしまうのです。小さめのヘッド(3列程度)のほうが、より効率よく磨けます。
歯ブラシ選びのポイント③ 毛の硬さ
実は毛の硬さこそが、歯ブラシ選びでもっとも重要です。硬すぎると歯や歯ぐきを傷つけてしまうだけでなく、歯に沿って毛がしならないので汚れを落とせる範囲が一部分になりがち。そのうえ歯ぐきが腫れているところに使うと、痛みを感じやすくなってしまいます。
反対にやわらかすぎると、歯や歯ぐきに傷はつかないものの汚れを落とす力が弱すぎてしまうことが。ベタベタしたプラーク(細菌のかたまり)を落とすのには適していません。
プラーク(細菌のかたまり)や歯ぐきの状態に合わせて、ちょうどいい硬さを選びましょう。毛にコシ(しなった毛が元に戻ろうとする力)があるものを選ぶと、汚れをしっかり落とせます。
正しい歯みがきで口腔内の健康をキープしよう
効率よくキレイにプラーク(細菌のかたまり)を落とすには、かしこくアイテムを使い分けることが大切だとわかりました。今日からは“脱・歯ブラシ1本”! しっかり汚れを落とし、口の健康を守っていきましょう。
フロアフロス
プラウト
タフト24
Supervisor監修者
株式会社オーラルケア 歯科衛生士
スウェーデンで確立された、予防歯科の考え方と実践方法を熟知している“予防のエキスパート”。エビデンスに基づいた歯を守る方法とその重要性について、幅広く情報発信を行なっています。歯科医療従事者、企業・団体、一般生活者に向けて、セミナーや教育活動を展開中です。
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