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舌の白い汚れ「舌苔」の原因とは? 口腔内への影響や予防・ケア方法をチェック

舌の白い汚れ「舌苔」の原因とは? 口腔内への影響や予防・ケア方法をチェック

舌の表面に白い汚れが付いているのが気になったことはありませんか? それは舌苔(ぜったい)と呼ばれており、口臭やむし歯などのトラブルを引き起こす原因になります。今回は舌苔ができる原因や自宅でできる舌ケアの方法を紹介するので、舌苔が気になる方はぜひチェックしてください。

更新日: 2023.07.26 口のお悩み解決事典

Supervisor監修者

株式会社オーラルケア 歯科衛生士


株式会社オーラルケア 歯科衛生士

スウェーデンで確立された、予防歯科の考え方と実践方法を熟知している“予防のエキスパート”。エビデンスに基づいた歯を守る方法とその重要性について、幅広く情報発信を行なっています。歯科医療従事者、企業・団体、一般生活者に向けて、セミナーや教育活動を展開中です。

舌苔とは? どんな人が溜まりやすい?

舌の上に白い苔のように付着した舌苔は、どのような物質で形成されているのでしょうか? 舌苔の原因を知るためにも、まずは舌苔とは何かを解説します。

舌苔とは舌に細菌が付着してできる白い物体

舌苔とは細菌や微生物、口腔内から剥がれ落ちた垢、唾液の成分、食べカスなどで形成されています。

舌苔ができやすいのは舌の中央~奥で、舌乳頭と呼ばれる突起のすき間に汚れが溜まります。日々の食事などで基本は取り除かれるのですが、いくつかの条件が重なると溜まりやすくなり舌苔が形成されます。

舌苔は病気ではないため、基本的には治療の必要はありません。しかし、口臭をはじめとした口腔内トラブルの原因になるため、溜まりやすい方や口臭が気になる方は定期的にケアすることをオススメします。

舌苔はどんな人が溜まりやすい?

舌苔は誰しもが必ず付着するわけではありません。舌苔が溜まりやすい方は、以下の特徴を持つことが多いので確認してみましょう。

舌苔が溜まりやすい人の特徴
  • 食後や寝る前に歯みがきをしない
  • 口が開いていたり口呼吸をしたりして口腔内が乾燥している
  • 日常的にストレスが溜まっている

上記以外にも、疾患や薬剤が原因で舌苔が溜まりやすくなっていることもあります。

舌苔が付着する原因

舌苔は誰にでもできる可能性がありますが、日々の習慣や体質が原因で舌苔ができやすい人も存在します。舌苔によるトラブルを防ぐためにも、舌苔ができる原因をチェックしておきましょう。

原因① 舌が清潔に保たれていない

舌苔ができる主な原因は、舌が清潔に保たれていないことです。唾液には歯だけではなく、舌に付着した食べカスや細菌も洗い流す自浄作用があります。しかし舌苔が付きやすい人は、舌ケアを怠ると表面に白い舌苔が付いてしまいます。舌苔をできにくくするためにも、舌をキレイに保つことを心がけてください。

また、間食が多い人も要注意です。間食後は歯みがきしない場合が多く、舌に汚れが溜まりやすくなります。舌をキレイに保つためにも、間食はほどほどにする、もしくは間食後に簡単に歯みがきをする、または軽く洗い流すなどの習慣をつけましょう。

原因② 唾液の分泌が少ない

唾液の分泌が少ないことも、舌苔ができやすい原因になります。なぜなら、唾液には舌に溜まった汚れを洗い流す効果や細菌の繁殖を抑える効果があるからです。唾液の分泌が少なければ、本来備わっている舌の清浄機能が十分に発揮しなくなるため、結果として舌苔ができやすくなります。

唾液の分泌量は体質的な原因も考えられるため、すぐに改善することは難しいかもしれません。こまめに水を飲んで舌の汚れを洗い流したり、ガムを噛んだりして積極的に唾液を出すようにしましょう。

原因③ 舌の位置や形状に問題がある

生まれつき舌の位置が低いと舌苔ができやすくなります。通常、舌は上あごと接する位置にあり、上あごと舌がこすれることで汚れが落ちます。しかし、舌の位置が低いと上あごと接しないため、汚れが除去できません。その結果、汚れが蓄積して舌苔が形成されやすくなります。

また、舌の表面に溝がある人も汚れが溜まりやすく、舌苔ができやすいといえます。舌の位置や形状は自力で治すことは難しいので、汚れが溜まらないように舌ケアを徹底してください。

舌苔を放置することで起きる口腔内への影響

舌苔は病気ではないので治療する必要はありませんが、放置するとさまざまな悪影響が出てきます。そのため、舌苔を放置するのはオススメできません。ここからは舌苔が原因で起こる口腔内のトラブルをいくつか紹介します。

口臭がきつくなる

舌苔を放置すると、口臭がきつくなる原因になるので要注意です。実際に日本歯科医師会の情報では、口臭の原因の6割は舌苔によるものといわれています。舌苔が口臭の原因となる理由は、揮発性硫黄化合物を生成するためです。

舌苔に生息した無数の細菌は、舌に付着した食べカスや垢に含まれるタンパク質を分解します。このとき口臭の原因となる揮発性硫黄化合物が生成され、口臭トラブルに発展しやすくなってしまうのです。

出典:歯とお口のことなら何でもわかるテーマパーク8020|日本歯科医師会

むし歯や歯周病の原因につながる

舌苔には食べカスが含まれており、付いたままにするとむし歯の原因菌として知られているミュータンス菌のエサになります。ミュータンス菌はそれをエネルギーに酸をつくり、歯のエナメル質を溶かします。

舌苔は歯みがきが行き届いていない人にもできやすい傾向があるため、磨き残しによってむし歯や歯周病になりやすくなってしまうことも。口臭や舌苔が気になる方は、口のケアの見直しも必要です。

誤嚥性肺炎の原因につながる

誤嚥性肺炎とは、食べ物を誤嚥して気管に入ってしまう際、細菌も一緒に肺の中に入り込んで肺が炎症を起こす病気です。舌苔が直接的な原因になるわけではありませんが、口の中に細菌が停滞したり増えたりした状態だと、誤嚥で細菌が肺に侵入するリスクが高まります。

誤嚥性肺炎を予防するためにも、口腔内を清潔に保ちましょう。

味覚障害の原因につながる

舌の表面が白い舌苔で厚く覆われると、味を感じにくいという味覚障害につながります。通常は舌にある味蕾(みらい)で味の刺激を受け取りますが、表面が舌苔で覆われると味物質が細胞に届きにくくなるのです。

その結果、「味がしにくい」「本来の味を感じられない」といった味覚障害につながってしまいます。食事を楽しめないだけでなく、食欲不振や塩分過多の原因になることも。健康的な食生活を送るためにも、舌苔ができにくい習慣を心がけましょう。

舌苔の付着を予防するための習慣

舌苔を放置することのリスクはご理解いただけたでしょうか? ここからは、舌苔を予防する具体的な習慣を紹介します。自宅や外出先で簡単にできる方法ばかりなので、ぜひ実践してみてください。

舌ケアを習慣化する

舌苔は、毎日の歯みがきだけでは予防できません。そのため、舌に付着した汚れを直接落とすケアが必要です。舌専用のブラシを使用して、舌表面に付着した汚れをやさしく取り除きましょう。

舌ケア用のブラシは、薬局やドラッグストアなどで安価に購入できます。具体的な舌ケアの方法は、次の項目で紹介します。

適度に水を飲む

口腔内が乾燥すると、舌の上に付着した舌苔が落ちにくくなります。また、口腔内が乾燥している状態では細菌が増殖し、舌苔が形成されやすくなることも。口腔内を乾燥させないためにも、適度に水を飲んで口腔内をうるおわせてください。

また、水を飲むことで唾液の分泌も促進されます。唾液の分泌が少ないと感じる人は、水をこまめに飲むのを習慣にすることをオススメします。

食べ物はよく噛んで食べる

舌苔を予防するためには、食事の際によく噛むことを意識するのも効果的です。食べ物をよく噛むと、唾液の分泌につながります。唾液には食べカスを洗い流す作用があるため、よく噛んで汚れを溜めにくくしましょう。

咀嚼回数の目安は一口30回以上とされていますが、なかなか難しいものです。まずは、普段よりも多く噛むことを意識してみてください。手軽に噛む回数を増やすには、ガムがオススメです。食事の時間以外にも唾液を出せるので、ぜひやってみてください。

舌苔を除去するための舌ケアの方法

ここからは、舌ケアの具体的な方法を解説します。ブラッシングの仕方や舌ケアのタイミングなども紹介するので、これから舌ケアを始める人はぜひ参考にしてください。

舌専用のブラシやアイテムを使用する

舌ケアは舌専用のブラシを使うのが基本です。歯を磨くついでに歯ブラシで舌をブラッシングする人もいますが、舌の表面はとてもデリケートなので歯ブラシで磨くと舌を傷つける原因になります。

舌専用のブラシは、歯ブラシよりもやわらかい素材でできていることが特徴です。やさしくケアするためにも、必ず舌専用のブラシを使用しましょう。

奥から手前にかき出すようにやさしくケア

舌ケアをするときは、奥から手前にかき出すようにやさしくケアするのがポイントです。手前から奥にブラッシングすると、汚れが奥に入り込んでしまう原因になるのでご注意ください。

舌の奥は舌苔が溜まりやすい場所ですが、嘔吐反射や喉の奥の粘膜を傷つける原因になるので、無理に奥まで入れるのはやめましょう。鏡で見える範囲でケアしてください。

ケア後は口をすすぐ

舌をブラッシングしただけの状態では、口腔内に汚れが残っています。口腔内から汚れを除去するためにも、ケア後は水で口をすすぐようにしましょう。

また、舌専用のブラシを使用した後は、ブラシに汚れが残らないよう水で洗い流し清潔に保つことが大切です。

マウスウォッシュを併用してもOK

舌ケアとマウスウォッシュを併用する方法もオススメです。マウスウォッシュには、舌の汚れを除去すると同時に、細菌の繁殖を抑える作用が期待できます。口臭が気になる方は、舌ケアと一緒にマウスウォッシュを取り入れてみましょう。

ただし、アルコール入りや刺激の強いタイプとの併用は要注意です。ブラッシングの刺激とマウスウォッシュの刺激が原因で、口腔内の荒れや乾燥を引き起こす可能性があります。

舌ケアのタイミングは就寝前や起床後がオススメ

口腔内の細菌が繁殖しやすいのは就寝時です。そのため、舌ケアのタイミングは就寝前もしくは起床後が効果的。就寝前に汚れを落としておけば就寝中の細菌繁殖を予防でき、起床後であれば就寝中に溜まった汚れを除去できます。

また、舌ケアは回数が多ければその分効果があるわけではありません。1日に何度もケアすると舌が傷つく原因になるので、回数は1日1回が目安です。

舌ケアをするときの注意点をチェック

舌苔の予防ができる舌ケアですが、方法を間違えると舌の粘膜を傷つける原因になります。トラブルなくケアするためにも、舌ケアをするときの注意点をチェックしましょう。

一度で完全に落とそうとしない

舌苔は、一度の舌ケアで落とせないこともあります。無理に完全に取り除こうとすると、舌を傷つける原因にもなってしまいます。

舌ケアは毎日継続して続けることが大切です。一度で汚れを取ろうとせず、日々のケアで少しずつ取り除くようにしてください。

1日に何度もやらない

舌苔を早く取り除くために、1日に何度も舌ケアをしていませんか? 舌ケアの頻度が多すぎることも、舌の粘膜を傷つける原因になります。

舌ケアの頻度は1日1回が目安です。就寝前か起床後のどちらかで行なうようにしましょう。

強い力でこすらない

白い汚れがなかなか取れないからといって、強い力でゴシゴシこするのは絶対にNGです。舌に強い力が加わると、舌に傷がつくだけでなく表面が剥がれることで乾燥しやすくなる、食べ物の味を感じる器官である味蕾が損傷するなどの危険性があります。

ブラシで舌ケアをするときは、力を入れずにやさしくブラッシングするように心がけましょう。

歯みがき粉は使用しない

舌ケアでは、歯みがき粉の使用は控えてください。舌ケアするときの滑りを良くしたい場合は、舌専用のジェルやマウスウォッシュがオススメです。

舌専用のジェルには、舌の汚れを浮かせて落としやすくする成分や乾燥を防ぐための保湿成分が配合されているものもあります。舌苔を予防したい方は、舌専用のブラシと一緒に揃えてみてはいかがでしょうか。

舌苔は日々の習慣と舌ケアで予防できる

舌苔ができる原因は、舌ケア不足や唾液不足などが挙げられます。歯科医院での治療は基本的に必要ありませんが、放置しておくと口臭やむし歯の原因になるので、早めに対処するのがオススメです。

舌苔は1日1回、舌専用のブラシでのケアで予防できます。口腔内のトラブルを防ぐためにも、舌ケアを実践してみませんか。 

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