歯並びが悪い原因はこれ! 大人も子どもも気をつけたい生活習慣や治療・矯正方法を紹介
歯並びが悪いことに悩んでいる人は多いのではないでしょうか? 歯並びが悪いと見た目や口内の環境に影響があるため、できれば改善したいですよね。そこで今回は、歯並びが悪くなる原因や影響を紹介します。治療方法や、子どもの頃にやっておきたい予防方法もお伝えするので参考にしてください。
歯並びが悪いってどんな状態?
歯並びの状態には、さまざまな種類があります。日本ではチャームポイントとされる八重歯も、叢生(そうせい)と呼ばれる悪い歯並びの一種です。
- 上顎前突(出っ歯)
- 下顎前突(受け口)
- 叢生(でこぼこの歯並び)
- 開咬(奥歯を噛み合わせたときに前歯が噛み合わない)
- 過蓋咬合(上の歯が下の歯に過剰に覆いかぶさる)
- 空隙歯列(すきっ歯)
一方キレイな歯並びとは、上下の前歯の中心が合い、歯列や噛み合わせが乱れていない状態のこと。歯が左右対称のキレイなアーチ状に並んでいるのが特徴です。
最近では歯並びへの意識が高まり、子どもから大人まで歯列矯正を行なう人が増えてきています。しかし、歯並びは大人になってからもさまざまな理由で変化するので、矯正治療をすると同時に悪い歯並びになる原因を断つことが大切です。
歯並びが悪いのはなぜ? 悪くなる7つの原因
歯並びが悪いのはなぜなのでしょうか? 元から歯並びが良い人と、何が違うのか気になりますよね。ここでは、歯並びが悪くなる7つの原因を紹介します。
直接的な原因
まずは、悪い歯並びの直接的な原因を見ていきましょう。
原因① あごが発達していない
発達していない小さいあごは、悪い歯並びの原因となります。あごが小さいと歯が並ぶためのスペースが十分に確保できないので、ガタガタした歯並びになってしまうのです。
あごが小さい要因には先天的な要素もありますが、食生活による影響もあります。やわらかい食べ物ばかり食べていると、悪い歯並びの原因となるので注意しましょう。
原因② 無意識に舌で歯を押している
無意識に舌で歯を押す癖も、悪い歯並びの原因となります。前歯が舌で押され続けることで徐々に歯並びが変化し、出っ歯やガタガタした歯並びなどの原因となるのです。
口を閉じているときは、舌が上顎に付いているのが正しい舌のポジションです。舌先は前歯の裏あたりにありますが、前歯を押すような力は加わりません。正しい位置に舌があっても、押す癖がある場合にはトレーニングが必要です。
原因③ 幼児期の習慣によるもの
おしゃぶりや指しゃぶり、爪噛みなど幼児期の習慣が、悪い歯並びの原因となっていることもあります。2歳頃を過ぎても頻繁におしゃぶりや指しゃぶりをしていると、出っ歯や開咬の原因となるため注意してください。
また、爪を噛む癖は歯や歯ぐきに大きな負担がかかります。上下の前歯がすり減ったり受け口になったりとさまざまな影響があるので、できるだけ早めにやめられるよう対策しましょう。
間接的な原因
次に、悪い歯並びの間接的な原因を紹介します。
原因① むし歯を治療せずに放置している
むし歯を治療せずに放置していると、痛みのあるむし歯を庇うようにして噛むようになり、歯の使い方に左右差が出て歯並びが悪くなってしまいます。
原因② 歯周病の進行
歯周病が悪化すると歯がグラグラし始めるので、歯の位置がズレやすくなります。そのため歯周病が進行していることも、歯並びを悪い状態にしてしまう原因になるのです。
また歯周病がさらに進行すると、歯を失ってしまうこともあります。歯が抜けたまま放置していると空いたスペースに周囲の歯が倒れ込み、歯並びが悪くなる原因となります。
原因③ 片方ばかりで噛む癖がある
食べ物を咀嚼するときに片方ばかりで噛む癖があると、悪い歯並びの原因となります。左右どちらかの歯を偏って使うことで歯並びの土台となるあごがゆがみ、歯列が乱れてしまうのです。
原因④ 頻繁に頬杖をつく
頬杖をつくと下顎が左右に押されるためあごがゆがみ、悪い歯並びの原因となってしまいます。頬杖をつく習慣のある人は、上下の前歯の中央のラインがズレていることが多いです。鏡で確認できるのでチェックしてみましょう。
歯並びが悪いとどんな影響がある?
さまざまな原因によって悪くなってしまう歯並び。歯並びが悪いまま放置するとどうなるのでしょうか? ここからは、悪い歯並びが引き起こす影響を紹介します。
思いきり笑えない
歯並びが悪いと、見た目が気になって思いきり笑えなくなることが多いようです。前歯の歯並びは周囲の目に触れやすいので、人とのコミュニケーションに強く影響します。
特に思春期の子どもは、自分の外見を気にしやすいもの。歯並びが悪いことが原因で交友関係に影響が出てしまうこともあるため、早めに歯科医院に相談するのがオススメです。
磨き残しが多くなり、むし歯や歯周病になりやすい
歯並びが悪いと歯みがきがしにくく磨き残しが多くなるため、むし歯や歯周病のリスクが高まります。歯並びがガタガタになっている状態では、歯同士が重なり合っている部分に磨き残しが発生しやすいのです。
むし歯や歯周病は、さらなる歯並びの悪化を招きます。歯並びの悪さが理由で歯の磨きにくさを感じている場合は、口内のトラブル予防のためにも矯正治療を検討しましょう。
口臭がきつくなりやすい
歯並びが悪いと、口臭が気になりやすくなります。歯並びのせいで歯がしっかりと磨けず、食べカスやプラーク(細菌のかたまり)が口内に残ったままになると、むし歯ができたり、歯ぐきが腫れて口臭が発生しやすくなるのです。
滑舌が悪くなる
歯並びが悪いと、滑舌に影響を及ぼす場合もあります。歯並びによって唇や舌の動きが制限されるため、発音に支障をきたすのです。
ガタガタの歯並びや、すきっ歯・開咬では空気が漏れ出てしまうため、サ行の発音がしにくくなります。出っ歯や受け口では、タ行が不明瞭になりやすいようです。
肩こりや頭痛が慢性化する
歯並びが悪いと、肩こりや頭痛が生じやすくなります。噛み合わせが悪いと首筋の筋肉の緊張を招くので、肩が凝ったり肩こりによる緊張性頭痛が生じたりするのです。
顎関節症になりやすい
歯並びが悪いまま放置していると、あごの関節に負担がかかって顎関節症になることがあります。顎関節症の代表的な症状は、咀嚼や口を開ける際にカクカク音がする・口が開けにくくなるなどです。
ひどくなると口を大きく開けられなくなったり、あごが痛くて食事がとりにくくなったりします。
顔がゆがむ
歯並びが悪いまま過ごすことは、顔のゆがみの原因に。噛み合わせの悪さによって特定の歯ばかりを使って咀嚼していると、徐々にあごがゆがんで顔の見た目が変化してしまうことがあります。
歯科医院で悪い歯並びを治す方法
歯並びが悪いことが気になったら、できるだけ早めに治療をして口内のトラブルや日常生活への悪影響を予防しましょう。ここでは、歯科医院で悪い歯並びを治す方法を紹介します。
ワイヤーを使った矯正治療
悪い歯並びを治す方法としてまず挙げられるのが、ワイヤーを使った矯正治療です。歯の表面に取りつけたブラケットという器具にワイヤーを通し、歯に力を加えることで歯並びを整えます。子どもから大人まで行なえる方法で、多様な歯並びに対応できるのが特徴です。
ワイヤーを用いる矯正治療には、歯の表面ではなく裏側にブラケットを設置する裏側矯正という手法もあります。通常のワイヤー矯正と違って矯正器具が見えにくいので、周囲に矯正をしていると知られたくない方にオススメです。
マウスピースを使った矯正治療
マウスピースを使った矯正治療の方法もあります。歯科医院で作成した透明のマウスピースを装着することで、歯を適切な位置に導く方法です。マウスピースを使った矯正治療のメリットは、ワイヤー治療よりも痛みを感じにくいことでしょう。
マウスピースは取り外しが可能なので、歯みがきの際に矯正器具が邪魔になり磨きにくくなることもありません。しかし対応できる歯並びが限定されるため、気になる場合は歯科医院で相談してください。
インプラントによる矯正治療
ワイヤー矯正につけ加える形で行なう治療方法で、インプラントによる矯正治療という選択肢もあります。これは、なくなった歯を補うためのデンタルインプラントとはまったく異なるもの。あごの骨に埋め込んだインプラントアンカー(アンカースクリュー)というネジを土台として力を加え、歯を適切な場所に誘導する治療法です。
矯正治療の期間を短縮できるほか、ワイヤー治療では動かせない方向に歯を移動することができます。
ただ、インプラントアンカーを使った矯正治療は16歳以上が推奨されているので、子どもの矯正には適しません。大人になってから歯並びを改善したい場合に検討したい矯正方法です。
子どもの歯並びが悪くなるのを予防する方法
悪い歯並びは矯正治療で改善できますが、なかには抜歯が必要になるケースもあるため、歯並びが悪くならないように子どもの頃から予防するのが大切です。ここでは、子どもの歯並びが悪くなるのを予防する方法を紹介します。
正しい姿勢を心がける
姿勢が悪いと、前歯で噛み切ったり奥歯ですりつぶしたりしにくくなり、あごの適切な発達を促せません。普段から姿勢を正すことを心がけ、正しい姿勢で食事をとるようにしましょう。
鼻呼吸の習慣をつける
鼻呼吸の習慣をつけることも、歯並びを悪くしないための大切なポイントです。口呼吸をする癖があると、口周辺の筋肉がうまく発達せず歯並びが悪くなります。
また口呼吸には口を乾燥させ、風邪をひきやすくなったりむし歯や歯周病になりやすくなったりする弊害も。子どもも大人も口呼吸には気をつけてください。
よく噛むことを意識する
食事の際によく噛むよう促すことも、悪い歯並びを予防する大切なポイントのひとつです。よく噛んで食べることであごが適切な大きさに発達しやすくなり、歯並びにも良い影響が現れます。ひと口食べたらお箸を置いてよく咀嚼するなど、さまざまな工夫を取り入れましょう。
適度な硬さのものを食べる
適度な硬さのものを食べることも、歯並びを悪い状態にさせないために効果的です。やわらかいものばかり食べていると噛む回数が少なくなりがちなので、硬いもの・噛み心地があるもの・弾力があるものを意識して食べさせるようにしてあげてください。
定期的に歯科医院で相談する
歯並びが悪くなるのを防ぐためには、定期的に歯科医院で相談することも大切です。かかりつけの歯科医院で口の状態をチェックしてもらうことで、あごの発達具合や歯並びの悪化につながる癖について相談できます。
子どもの口の中は、成長にともないどんどん変化していくものです。定期的に歯科医師の健診を受け、歯並びの悪化への対策や治療のタイミングを相談しましょう。
歯並びが悪いまま放置せず、早めに歯科医院で矯正しよう
今回は、悪い歯並びの原因や影響を紹介しました。歯並びは何気ない習慣や口内環境など、さまざまな理由で悪くなります。歯並びが悪いとさまざまなデメリットがあるので、放置せず早めに歯科医院で治療するようにしてくださいね。
Supervisor監修者
株式会社オーラルケア 歯科衛生士
スウェーデンで確立された、予防歯科の考え方と実践方法を熟知している“予防のエキスパート”。エビデンスに基づいた歯を守る方法とその重要性について、幅広く情報発信を行なっています。歯科医療従事者、企業・団体、一般生活者に向けて、セミナーや教育活動を展開中です。
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