知っておきたい歯の基礎知識! 私たちの歯の「構造と名称」について学ぼう
あなたは自分の歯がどんな形をしているか、どのように並んでいるかを知っていますか? 口の健康づくりの第一歩は、口内の組織についてよく知ること。この記事では「歯と歯周組織の構造」および「歯の名称とそれぞれの役割」をご紹介します。
「歯」と「歯周組織」の構造と機能
食べる・話す・運動するときに重要な働きをしている歯と、その歯を支えている歯周組織。構造や機能について詳しく見ていきましょう。
歯の構造と機能について
歯は、①エナメル質 ②象牙質 ③セメント質 ④歯髄で構成されています。それぞれどんな特徴があるのでしょうか。
① エナメル質
エナメル質は、歯の最も外側に位置しています。主成分はハイドロキシアパタイト。非常に硬度が高いものの、酸性の環境に弱いのが特徴です。
私たちの口は食事のたびに酸性へ傾き、脱灰(酸によって歯の表面が溶け出す現象)が起こっています。エナメル質を守るためには、酸性に傾いている時間を短くすることが重要です。
② 象牙質
象牙質は、エナメル質のすぐ内側にあります。主にリン酸カルシウム、ハイドロキシアパタイト、コラーゲン繊維でできており、硬度はエナメル質よりもやわらかめです。そのため硬い歯ブラシを使って強い力で磨くと、象牙質が削れてむし歯が進行してしまう恐れがあります。
また象牙質には象牙細管という通路があり、栄養や酸素の供給や感覚の伝達を行なっています。象牙細管が露出してしまうと、ここを通じて外部からの刺激が直接神経へ到達。しみたり痛みを感じたりします。
③ セメント質
セメント質は、歯根部(歯の根)の表面を覆う組織です。歯を歯槽骨に固定する役割があり、ハイドロキシアパタイトとコラーゲンで構成されています。エナメル質や象牙質と比べて、層が薄いのも特徴の一つです。
④ 歯髄
歯髄とは、歯の神経や血管などが集まっている組織です。歯の発育や成長を促す栄養供給や、歯の感覚を伝える役割があります。いわゆる“神経を抜いた歯”がもろくなるのは、歯髄を通して栄養が補給されなくなるためです。
歯周組織の構造と機能について
続いて、歯周組織の構造と機能を見ていきましょう。歯周組織とは、歯の周りの組織のこと。歯を支えたり、歯の感覚を伝える働きをしています。
① 歯肉
歯肉は、歯と歯槽骨を覆っている粘膜組織です。歯ぐきとも呼ばれており、赤みや腫れといった歯周病などの症状が表れます。
② 歯肉溝
歯肉溝とは、歯と歯肉の間にある隙間のことです。一般的に前歯で1~2mm、奥歯で3mm程度あり、歯周病などで歯肉が腫れるとさらに深くなります。
③ 歯槽骨
歯槽骨とは、歯を支える骨組織のこと。歯をぐるりと囲むように存在しており、歯はこの骨に植わっているような形をしています。
歯周病が進行して歯槽骨が減ると、歯肉が下がるうえに歯を支えられなくなります。
④ 歯根膜
歯根膜は、歯と歯槽骨の間に存在している組織です。歯根部分を歯槽骨に固定させたり、歯にかかる衝撃を吸収するクッションのような働きをしています。また、食材の硬さを感知する役割も担っています。
歯の名称とそれぞれの役割
私たち人間の歯は大きく分けて3種類あり、それぞれ役割が異なります。一つひとつ見ていきましょう。
① 切歯
切歯(せっし)は、いわゆる前歯です。顔の正面に見える上下4本ずつの歯のことをいいます。正面の上下2本を中切歯、その隣にある歯を側切歯と呼びます。
薄く刃物のような形をしており、ナイフのように食べ物を切る役目をしています。
② 犬歯
犬歯(けんし)とは、顔の正面から数えて3本目の鋭く尖った歯です。上下左右あわせて、全部で4本あります。
切歯と同様に、食べ物を嚙み切る役割を果たしています。
“八重歯”は正式名称ではない?
犬歯を“八重歯(やえば)”と呼ぶことがありますが、実は正式な歯の名称ではありません。八重歯とは、「歯並びがガタガタして外側に飛び出た犬歯」のことをいいます。
日本では「かわいい」とチャームポイントにもなる八重歯。しかし磨き残しやすく、むし歯や歯周病にならないよう注意が必要です。八重歯のある場合は、より丁寧なケアを心がけてください。
③ 臼歯
臼歯(きゅうし)とは奥歯のことです。全体的に丸く、噛む面に溝があります。犬歯に近いほうにある小さめの丸い歯が小臼歯、奥にある大きい歯が大臼歯です。
臼歯は石臼(いしうす)のように、食べ物をすりつぶして細かくする役割を担っています。
“親知らず”ってどの歯のこと?
親知らずとは、一番奥に生える永久歯です。正式には第3大臼歯といい、上下左右にそれぞれ1本ずつ、合計4本生えます。ただし生えてこない人や、そもそも親知らずが存在しない人も少なくありません。
親知らずが生えるのは、すべての歯が生えそろった一番最後。20歳前後で生えることが多いようです。そのため生えるスペースが限られており、斜めに出たり半分しか出なかったりと不完全な状態で生えることが多くあります。
一番奥まった場所にあるうえに、歯ブラシが届きにくい形をしている親知らず。プラーク(細菌のかたまり)が溜まりやすいので、むし歯や歯周病には注意が必要です。
歯の構造や役割を理解して、セルフケアに役立てよう!
歯は生えている場所によって、その特徴や役割が異なります。自分の口の中をしっかり把握し、毎日のセルフケアに役立ててくださいね!
Supervisor監修者
株式会社オーラルケア 歯科衛生士
スウェーデンで確立された、予防歯科の考え方と実践方法を熟知している“予防のエキスパート”。エビデンスに基づいた歯を守る方法とその重要性について、幅広く情報発信を行なっています。歯科医療従事者、企業・団体、一般生活者に向けて、セミナーや教育活動を展開中です。
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