歯の磨きすぎには要注意! 口内トラブルにつながるNGな歯みがきを改善しよう
歯みがきの際に、つい力強く磨きすぎて歯ぐきを傷つけていませんか? 歯の磨きすぎは、口内のトラブルにつながるため注意が必要です。今回は、歯の磨きすぎで起こるリスクや、歯に負担をかけない磨き方のポイントなどを解説します。
この磨き方はNG!【歯の磨きすぎ】チェックポイント
はじめに、歯の磨きすぎといわれるNGな磨き方を紹介します。普段の歯みがきと照らし合わせて、歯を磨きすぎていないか確かめてください。
① 歯みがきの時間が極端に長い
普通の歯ブラシだけで歯みがきした場合の平均時間は、丁寧に磨いても3~5分ほどが目安です。それ以上時間をかけて歯みがきしている方は、歯に余分な負荷をかけている可能性があります。
長時間ブラッシングすると満足感を得やすいものの、歯ブラシでは届かない場所からはプラーク(細菌のかたまり)が落としきれていません。「歯を磨く」という目的は達成しても「歯みがきができた」「キレイになった」とはいえない状況で、長く時間をかければかけるほど口内トラブルになる可能性が高くなります。
デンタルフロスや歯間ブラシを使用する場合は、そのアイテムの慣れ具合によってトータルの歯みがき時間が変わります。いずれも「時間をかける=丁寧な歯みがき」ではないため、ただ時間が長いだけの歯みがきはやめましょう。歯みがきはプラーク(細菌のかたまり)を取り除くことをイメージして、適切な時間で行なってください。
② 硬い歯ブラシや強い力でのブラッシング
毛が硬い歯ブラシは、歯ぐきに当たったときに痛みを感じやすいリスクがあります。また強い力でブラッシングすると、過剰な力がかかり歯の表面や歯ぐきを傷つけてしまいがちです。
硬い歯ブラシは頑固なプラーク(細菌のかたまり)をしっかり落とせるメリットがある一方で、上手にブラッシングの力がコントロールできないと歯や歯ぐきへの負担が大きくなります。
③ 歯みがきの回数が多い
歯みがきを一日に何度もすることが、キレイな口内環境の維持につながると思っている方も多いのではないでしょうか? 毎食後や就寝前後など小まめに歯みがきするのは理想ですが、必ずしも「回数が多ければ良い」ものではありません。
磨く回数ばかり意識しすぎると、歯や歯ぐきを傷つけて歯の磨きすぎに当てはまる可能性があります。歯みがきは一日2~3回程度、プラーク(細菌のかたまり)を落とすブラッシングができているかがポイントです。
「歯の磨きすぎ」が良くないといわれる4つの理由
歯の磨きすぎは歯や歯ぐきを傷めるのはもちろん、歯ぐきの下部分が露出したりと口内の健康を損なうリスクがあります。ここでは、歯の磨きすぎが良くないといわれる理由を詳しく解説します。
理由① 歯を傷める
歯の磨きすぎで一番気をつけたいのが、歯の表面を傷つけて歯を傷めることです。歯の表面のエナメル質は体の中で最も硬い部分ですが、誤ったブラッシングで磨きすぎると削れてしまいます。
表面が傷ついて凹凸ができるとプラーク(細菌のかたまり)が付着しやすくなります。
むし歯や歯周病を予防し、口内を健康に保つための歯みがきですが、磨きすぎるとかえってデメリットが連鎖する可能性があるため注意しましょう。
理由② 知覚過敏になってしみる
歯の表面のエナメル質が削れると、外からの刺激をブロックしにくくなり知覚過敏を引き起こす可能性があります。知覚過敏とは、冷たいものや熱いものを食べたときや歯みがきのとき一時的に鋭い刺激で歯がしみる症状です。
知覚過敏は、エナメル質の下にある象牙質が露出して刺激を受けることで起こります。歯の磨きすぎを防止すれば避けられるので、知覚過敏にならないように正しい歯みがきをマスターしましょう。
理由③ 歯ぐきが下がって露出する
ブラッシングの強い力で歯ぐきに負荷をかけ続けると、歯肉退縮といって歯ぐきが下がる原因になります。歯肉退縮が進行すると、歯と歯の隙間が大きくなったり、歯ぐきに隠れている象牙質が露出したりするリスクにもつながるのです。
歯と歯の間や歯の根元はプラーク(細菌)がたまりやすい場所ですが、歯の磨きすぎで歯ぐきに負担をかけないよう注意する必要があります。
理由④ むし歯や歯周病につながる
歯の磨きすぎで歯の表面に凹凸ができたり歯と歯の間に隙間ができると、むし歯や歯周病の原因菌が多く存在しているプラーク(細菌のかたまり)が残りやすくなります。
プラーク(細菌のかたまり)を放置してしまうと、将来的にむし歯や歯周病になるリスクがアップ。口内の健康を保つためにも、歯への負担を最小限に抑えましょう。
歯の根元のむし歯には特に注意
歯の磨きすぎのリスクとして心配されるのが、歯の根元のむし歯です。
歯の磨きすぎや加齢、歯周病などの影響で歯ぐきが下がってくると、歯の根元が露出します。この部分はエナメル質よりもやわらかく、むし歯になりやすいため特に注意が必要です。
磨きすぎを防止! 歯や歯ぐきに負担をかけない歯みがきのポイント
歯や歯ぐきに負担をかけない歯みがきのポイントをお伝えします。毎日の歯みがきの方法に気をつけて、磨きすぎを防止しましょう。
ポイント① 力を抜いてブラッシングする
歯みがきの目的は、歯の表面に付いたプラーク(細菌のかたまり)の除去です。強い力で磨かなくてもプラーク(細菌のかたまり)は落とせるので、歯や歯ぐきを傷めないよう意識して歯を磨くのが大切です。
ポイントは、力を抜いてできるだけやさしくブラッシングすること。歯ブラシの毛を細かくシャカシャカと動かし、プラーク(細菌のかたまり)を除去してください。
ポイント② 歯ブラシの硬さ選びに気をつける
歯や歯ぐきを傷めないよう、自分に合った硬さの歯ブラシを選びましょう。かための歯ブラシは頑固なプラーク(細菌のかたまり)を落とせますが、磨く力をコントロールできないと歯や歯ぐきに負担をかける原因となります。
歯ブラシ選びでは毛の硬さだけでなく、毛のコシにも注目を。毛のコシがあると、プラーク(細菌のかたまり)をしっかりと掻き取れます。
歯ブラシの硬さ |
こんな方にオススメ |
注意点 |
やわらかめ |
歯や歯ぐきへの負担を抑えたい方 |
頑固なプラーク(細菌のかたまり)は落としにくい |
ふつう |
歯ぐきの状態が良い方 |
磨く力のコントロールが必要 |
かため |
頑固なプラーク(細菌のかたまり)を落としたい方 |
細かい部分の磨き残しに注意 |
ポイント③ 回数よりも丁寧に磨くことを重視
歯みがきは、あくまでもプラーク(細菌のかたまり)を掻き取ることが大切です。つまり歯みがきの回数を重ねても、磨き残しがあれば健康をキープできないのです。
プラークを掻き取る丁寧なブラッシングにプラスして、デンタルフロスやワンタフトブラシ、歯間ブラシを取り入れると、磨きすぎを防止しつつ健康づくりにつながります。
歯みがきの回数は一日2回が目安
朝食後と就寝前など、ライフスタイルに合わせて歯みがきのタイミングを決めておきましょう。
毎食後しっかり磨き続けると、歯の磨きすぎの原因になる場合があります。食べカスを取ったり、エチケットとしてケアしたりなど、一日の中で歯に負担をかけすぎないようにバランスを取ることが大切です。
寝る前は必ず歯みがきする
就寝中は唾液の分泌が少なくなるため、細菌が洗い流されず細菌が増えやすくなります。一日の中でも特に細菌の活動が活発になるタイミングなので、就寝前に歯みがきをしてできるだけ口内に細菌を残さないようにしてください。
ポイント④ 歯みがき粉は適量を使う
泡立ちの良い歯みがき粉は、しっかり磨けていなくても磨けているような錯覚を起こします。歯みがき粉の泡立ちに満足してプラーク(細菌のかたまり)を掻き取れないと、毎日歯みがきしてもむし歯や歯周病を発症することになりかねません。
適切なブラッシングをするためにも泡立ちの良い歯みがき粉を避け、歯みがき粉は適量を守って使いましょう。
歯みがき粉の量は、歯ブラシの2分の1〜全体。年齢や商品によって適量が変わりますので、パッケージなどで確認してください。
【Q&A】歯の磨きすぎで気になること
ここでは歯の磨きすぎでよくある疑問について回答します。歯ブラシ選びのプラス知識や歯ぐきが下がったときの治療法などの情報をまとめたので、ぜひチェックしてください。
やわらかい歯ブラシを使うべき?
硬い歯ブラシで磨くのは磨きすぎの原因になることもありますが、やわらかい歯ブラシならOKというわけでもありません。
やわらかい歯ブラシは、歯や歯ぐきに負担をかけずに口内の健康をキープしたい人にオススメの硬さです。また、歯ぐきが腫れている人や歯肉炎の方はより歯ぐきがデリケートな状態になっているため、やわらかめの歯ブラシを使うと良いでしょう。
どの硬さの歯ブラシでも、力を抜いてできるだけやさしく細かくブラッシングするのが磨きすぎを防止するポイントです。磨く力がコントロールできていれば、かための歯ブラシでも磨きすぎて歯や歯ぐきを傷めるリスクは少なくなります。
歯の磨きすぎで下がった歯ぐきは治せる?
下がった歯ぐきは、自然に元に戻ることはありません。いくつか治療方法はありますが、受けられるかどうかは状態によります。
歯科医院の検査を受けてからの判断となりますので、気になる方は早い段階で歯科医院に相談してください。
正しい歯みがきができているか分からないときは?
磨き残しや磨きすぎなどブラッシングに不安がある方は、歯科医院でチェックしてもらうのがオススメです。
歯科医師や歯科衛生士は口内ケアのプロなので、歯ブラシ選びや口内ケアアイテムの知識も豊富です。アドバイスを参考に歯みがきすると、磨きすぎによる口内トラブルを防いで健康な歯を保てるでしょう。
正しい歯みがきで歯の磨きすぎによる口内トラブルを予防しよう
歯を磨きすぎると、歯や歯ぐきに負担をかけ、さまざまな口内トラブルにつながります。歯みがきは回数よりも丁寧に磨くことを意識し、力を抜いてやさしくブラッシングするのがポイントです。
歯ブラシはプラーク(細菌のかたまり)を落とせるコシがあるものを選びましょう。
歯を磨きすぎているか心配な方は、磨き方や歯ブラシの選び方などを歯科医院に相談し、口内トラブルが起こる前に正しいケアで予防することを心がけてください。
Supervisor監修者
株式会社オーラルケア 歯科衛生士
スウェーデンで確立された、予防歯科の考え方と実践方法を熟知している“予防のエキスパート”。エビデンスに基づいた歯を守る方法とその重要性について、幅広く情報発信を行なっています。歯科医療従事者、企業・団体、一般生活者に向けて、セミナーや教育活動を展開中です。
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