食後と寝る前に歯みがきが必要なのはなぜ? 食後と寝ている間の口腔環境を解説
歯みがきをする習慣はあっても、「なぜこのタイミングで歯を磨くのか」と考える機会は少ないのではないでしょうか? そこで今回は、特に歯みがきが大事になってくる「食後」と「寝る前」の口内環境について解説。どうして歯みがきが必要なのか理解して、毎日のケアに励んでくださいね。
むし歯になりやすい時間がある? 食後と寝る前の口の中はこんな状態
小さいころ、「食べたら磨きましょう」「歯みがきしてから寝なさい」といわれた人は少なくないはずです。とても重要な「食後」と「寝る前」の歯みがき。食後や寝ている間、口の中ではいったいどんなことが起こっているのでしょうか?
【食後】の口の中
食事をした直後の口の中では、次の2つのことが起こっています。
① むし歯菌が活発になっている
食後は、むし歯菌が特に活発になるタイミングです。むし歯の発生源である「ミュータンス菌」は、口の中に残った食べかすの糖分をエサにしてプラーク(細菌のかたまり)をつくり出します。プラーク(細菌のかたまり)はむし歯菌の恰好の住み家となるため、むし歯菌がさらに増殖する原因となるのです。
さらに、プラーク(細菌のかたまり)は放置すると固まって歯石になり、歯周病や口臭といった口内トラブルも引き起こします。むし歯だけでなく、このような口内トラブルを予防するためには、むし歯菌の活動が活発になる前にケアすることが大切。食後は早めのタイミングで歯みがきをしましょう。
② 歯のエナメル質が溶けやすい酸性の状態になっている
むし歯菌が食べかすの糖分で活発になると、酸をつくり出します。この酸の影響で口の中は酸性となり、歯のエナメル質から栄養が溶け出してむし歯になりやすい状態に。その後、口の中は唾液のチカラによって酸性から中性に戻っていきます。
食事のたびに酸性になり、食後に中性に戻る。この繰り返しの中で、酸性の時間が長くなるとむし歯になりやすくなります。歯の表面がトロトロ溶けていくことはありませんが、酸性の時間をできるだけ短くすることが大切です。
だらだら食べるとむし歯になるリスクが高まる
だらだら食いはむし歯菌にエサを与え続けることになるため、酸性の状態が長く続きます。つまりむし歯菌に活動のチャンスを増やして、むし歯になるリスクを高めてしまうのです。
むし歯菌が活発になるタイミングは、口の中に糖分があるとき。食べている時間を短くしたり、おやつは食べる量を決めてだらだら食べ続けないようにしたりと工夫して、むし歯になりにくい環境づくりをしていきましょう!
【寝ている間】の口の中
ぐっすり眠っているときの口の中。いったいどんなことが起きているのでしょうか?
乾燥して細菌が増えやすくなっている
唾液にはむし歯の原因菌を洗い流したり口内を中性に保ったり、重要な役割があります。しかし寝ている間は、唾液の分泌量が減少。細菌が洗い流されないばかりか、日中よりも乾燥した状態になってしまいます。1日の中でも特に口内の細菌が増えやすいタイミングです。
乾燥した口内は細菌が活動しやすい環境であり、むし歯や歯周病のリスクも高まります。朝起きたときの口内のネバつきや口臭は、寝ている間に増えた細菌が原因です。
食後と寝る前は丁寧な歯みがきを心がけよう
食後と寝ている間の口の中は、一日のうちでも特にむし歯になりやすい状態になっています。だからこそ丁寧なケアが必要です。歯ブラシやデンタルフロスなどを使って、口内環境をキレイな状態でキープしてくださいね。
Supervisor監修者
株式会社オーラルケア 歯科衛生士
スウェーデンで確立された、予防歯科の考え方と実践方法を熟知している“予防のエキスパート”。エビデンスに基づいた歯を守る方法とその重要性について、幅広く情報発信を行なっています。歯科医療従事者、企業・団体、一般生活者に向けて、セミナーや教育活動を展開中です。
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